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さいたま市が発行するパンフレットです. パンフレットでは,さいたま市10区の障害者生活支援センターが紹介されています.ご相談のある方は,お住まいの区の支援センターにお電話ください.必要に応じて面談や訪問等でお話を伺います. |
研修名称 | 受講修了人数 | 修了者配置 |
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平成30年度埼玉県相談支援従事者専門コース別研修(地域移行支援)『医療と保健・福祉の連携研修』 | 3名 | 見沼区 1名 大宮区 1名 浦和区 1名 |
2022年度さいたま市障害者生活支援センター運営業務自己採点表
2022年度事業計画
相談支援活動
1)各区の地域ネットワークづくりを進める
2022年2月より施行された「さいたま市障害者支援地域協議会運営要綱」に基づき,各区に地域協議会の設置が進められている.各区の実情に応じ,区支援課,他の事業所等と協議をしながら障害のある人の暮らしの実態把握,各事業所の抱える課題整理に取り組む.区ごとの特徴を生かし,学習や研修の機会を通して区内関係者の共通基盤づくりを進める.
2)地域移行支援の取り組み
2021年度は,COVID-19感染拡大の影響下で,地域移行支援の取り組みが減少傾向にあった.長引く感染状況の中ではあるが,さいたま市地域移行・定着支援連絡会議を中心に,市内精神科病院やピアサポータ―との連携のもと,地域移行支援を具体的に進めるための対策を議論し,事業を遂行できるよう取り組みを進める.
3)相談者の実態と傾向から支援態勢課題を明らかにする
障害者生活支援センターが対応している相談者を統計的に分析し,その傾向や課題抽出に取り組む.社会的に孤立しがちな人や世帯の割合が多いが,既存の障害福祉サービス等の支援環境では対応できない場合もある.新たな事業の開発や提案など,法人内で検討できるよう,準備を進める.
2021年度事業報告
相談支援活動
1.相談支援活動の総括
浦和区・大宮区・見沼区それぞれの障害者生活支援センター(以下,生活支援センター)は,さいたま市からの委託を受け,地域の一次相談窓口として,障害のある人やその家族の相談に対応し,面接や訪問を行った.また,ニーズに合った必要な支援が提供されるよう,関係機関への連絡調整やケア会議の開催等行い,連携して支援する態勢を整えた.
また2021年10月より,浦和区障害者生活支援センターやどかりが基幹相談支援センターを受託.より公益性の高い役割を担っていくにあたり,職員体制の整備や行政機関との協議等準備を進め,運営を開始した.
1)相談者の状況
(1)新規相談者の状況
2021年度の新規相談件数は221件(浦和区91件,大宮区62件,見沼区68件).在宅中心の生活にある人に関する相談が5割にのぼり,相談者の4割が関係機関からと最も多い.相談内容は,福祉サービス利用に関わる相談が全体の約半数を占め,主な対応は福祉サービスの利用に向けた,事業所の紹介や見学同行などである.その他の相談内容は,障害や病状に関することや,就労や家計に関することなど多岐にわたる.
その一方で,高齢の親と障害のある人の世帯では,親の急逝や施設入所等により本人の生活が立ち行かなくなり,早急に支援を要する相談もあった.情報の収集や関係機関と協議の上,医療や福祉サービスにつなぐよう対応した.生活が立ち行かなくなってしまう前に相談につながることができた世帯については,行政機関と共有し,支援態勢を検討した.相談につながっている世帯はごく一部であり,地域包括支援センターとの連携や高齢世帯の実態把握は,今後の重点課題の1つである.
(2)継続相談者の状況
継続相談者数は737人(浦和区228人,大宮区215人,見沼区294人).電話や面接,訪問等で延べ9,154件の相談に対応した.相談者の平均年齢は47.8歳.
居住形態(図1)は,単身生活が3区とも40%弱となり,子や配偶者等との同居は15%前後である.親との同居は各区でばらつきがあり,浦和区が43%と最も高く,続いて大宮区で33%,見沼区が25%と低い.一方でグループホーム等へ入居している人は,見沼区が20%近くで最も高く,浦和区では5%で最も低い.こうした状況の背景には,やどかりの里グループホームの多くが見沼区にあることや,営利法人が運営するグループホームが見沼区に複数設置される等,区による社会資源の偏在による違いが考えられる.
経済基盤では,相談者全体の半数以上が何らかの年金を受給している.しかしその多くが自身の収入は年金のみとなっている.継続相談者の主たる経済基盤を図2に示した.生活保護の受給率は見沼区が最も高く45%であった.浦和区は23%と最も低い一方で,家族の収入のみで暮らす人は19%と3区の中では最も高い.親と同居している人が多いことも要因の1つであろう.また,就労継続支援A型事業所や一般就労等で収入を得ている人は,見沼区で10%に満たないのに対し,大宮区と浦和区では20%近くとなる.仕事の求人が都内に多いことや,事業所が大宮駅や浦和駅周辺に多いことも要因の1つと考えられる.
社会資源の利用状況(図3)では,日中活動を行う事業所(就労支援事業所,自立訓練,地域活動支援センター,デイケア等)や,居宅介護や訪問看護,介護保険サービス事業所等,何らかの社会資源を利用している人が全体の80%以上にのぼる.生活支援センターの相談のみつながっている人は18%で,生活が立ち行かなくなることが心配されるものの福祉サービス利用に拒否的な人や,社会参加への一歩を検討中の人などさまざまだ.適切なタイミングで情報や支援を提供できるよう,面接や訪問等を通じて生活状況の把握を継続した.
また,精神障害や知的障害,発達障害などさまざまな疾患や障害を併せもつ人も全体の10%にのぼる.幼少期の虐待や不登校,世帯の貧困や孤立等の課題を背景に,精神的な不安定さを抱えている場合も多い.背景にある社会の課題に目を向ければ,幼少期からの,子の発達と世帯を支えるきめ細かな支援の重要性は明らかだ.幼児期から高齢期まで,ライフステージを通じた切れ目のない支援態勢の構築が必要である.
2)計画相談支援への対応
障害福祉サービスの利用を希望する人に対し,サービス等利用計画の作成に対応した.グループホームや就労継続支援B型事業所等の新規開所数は増加しており,情報収集を行いながら紹介や見学同行,利用にむけた連絡調整等対応した.区内の相談支援事業所との情報交換や事例検討を通して,計画相談支援の制度課題の集積を進め,指定特定相談支援事業所数の不足や,人員態勢の脆弱さが明らかとなっている.
3)虐待・差別への対応
さいたま市では,各区への基幹相談支援センターの設置と合わせて,「障害者支援地域協議会」(以下,地域協議会)の設置が予定されている.浦和区では,2021年10月より実施.各区本格実施にむけ,地域の実情に応じたネットワークづくりを進めた.
(1)浦和区の取り組み
① 地域ネットワークづくり
浦和区支援課及び浦和区障害者生活支援センターむつみと協働し,事務局としてサービス調整会議,相談支援連絡会議,浦和区地域協議会(以下,区協議会)について,企画運営を行った.特に区協議会については,年度内の立ち上げに向け,基幹相談支援センターとしてその準備に多くの時間を割いた.
区協議会は,「切れ目のない本人を中心とした支援体制を浦和区に構築する」ことを主目的とし,構成員には精神障害者家族会や障害福祉サービス事業所,児童発達支援センター,地域包括支援センターなどが参画している.更にアドバイザー機関として区内高齢介護課,福祉課,保健センター等,障害の枠にとらわれず,各年代をつなぐ顔ぶれで構成されているのが大きな特徴だ.
2月に第1回区協議会を開催し,障害のある人の生活実態や地域課題を抽出するための調査,共有のための研修の機会の必要性を確認した.また,高齢分野との連携による高齢世帯や家族支援に向けた実態把握など,次年度に向け各担当者を中心に実施することを協議した.
② 権利擁護の取り組み
虐待対応を,浦和区支援課,さいたま市高齢・障害者権利擁護センターと協議しながら進めた.地域包括支援センターとも連携し,被虐待者と虐待者双方への対応を行った.また,浦和区相談支援連絡会議を中心に,権利擁護に向けた意識向上のため,差別や虐待の可能性がある事例について意見交換の機会を作った.
(2)大宮区の取り組み
① 地域ネットワークづくり
地域で障害のある人を支える支援機関同士のネットワークづくりに向け,大宮区障害者生活支援センターみぬまと3か所の福祉サービス事業所で「大宮区地域で支えるネットワーク連絡会議(通称,おおみやネット)」を立ち上げ,その事務局として活動してきた.2021年度は大宮区内にある障害福祉サービス事業所71か所を対象に,課題やニーズ把握のためのアンケート調査を実施.多くの事業所が事業所間の連携や情報共有の機会を求めていることがわかった.2022年度は,おおみやネット全体会の開催を予定している.また,高齢分野との連携を図るため,区内2か所のシニアサポートセンターに現状の課題や地域の実態について聞き取りを行った.ライフステージを通じた切れ目のない支援体制を目指し,今後は相互学習の機会をつくる予定だ.
COVID-19感染拡大防止のため支援課との定期的なサービス調整会議はできなかったが,大宮区支援課及び大宮区障害者生活支援センターみぬまと大宮区地域協議会設置に向けて話し合いを行った.
② 権利擁護の取り組み
家族の高齢化等による生活の変化,外に出る機会が減ったことによる家族内の不適切な関わりなどによって虐待につながる心配がある人も多い.面接や訪問等の支援を継続する中で,生活状況を把握し,関係機関と連携して必要な環境整備を行った.今後は,支援課と協力し,区内の福祉サービス事業所に向けて権利擁護の意識向上のための意見交換や学習の機会をつくっていく.
(3)見沼区の取り組み
① 地域ネットワークづくり
サービス調整会議とつながり支援会議(隔月1回),相談支援連絡会議(月1回)の定期的な開催に加えて,見沼区地域協議会立ち上げに向けて,見沼区支援課及び見沼区障害者生活支援センター来人と定期的な打ち合わせを行った.また,区内の福祉サービス事業所のニーズ調査と実態把握のため,14か所にヒアリングを行った.情報交換や,一事業所では満たせないニーズに対応できる横のつながり等,ネットワークの必要性が明らかとなった.区地域協議会実施に向けて幅広く議論を進めていけるよう,福祉サービス事業所8か所を加えて,2月に第1回地域協議会準備会を開催.現場で抱える課題を共有し,共通基盤づくりをスタートさせた.
② 権利擁護の取り組み
家庭内の不適切な関わりや,知人による経済的搾取等の相談に支援課とともに対応した.家族,事業所等との協議に加え,権利擁護センターの弁護士相談を活用し専門的な意見をもらった.多角的に本人の権利擁護について検討しながら,必要な環境を整えた.
4)さいたま市の相談支援態勢づくり
「さいたま市コーディネーター連絡会議」に参加し,権利擁護委員会や教育研修委員会,調査研究委員会,広報委員会に委員として出席した.COVID-19の感染拡大が続く中,オンラインによる研修や会議が定着し,研修の企画運営,実態の把握,必要な情報の周知,啓発活動を進めた.
地域移行・地域定着連絡会議は2回開催されたが,病院の面会等の制限は解除されていない.入院している人たちの不利益とならないよう,取り組みの具体策の検討が急務である.
生活支援センターの相談を通して見えている課題は,地域のさまざまな支援機関の抱える課題と共通していることも多い.一方で,障害者支援の経験の乏しい,営利法人を運営母体とする福祉サービス事業所は増加しており,人権を基盤に据えた実践をどう共に取り組んでいけるのか,日々の実践が試されている.障害のある人たちの実態把握と課題整理や学習会を通して,価値や理念,問題意識を確認し合い,土壌を耕しながら,障害のある人にとって本当に必要なネットワークを作っていくことが大きな課題となる.