◎理事長よりご挨拶
二期目理事長に就任して - 住民と協働した学会の実現を!-
山口忍(茨城県立医療大学)
今年度2期目理事長に就任いたしました茨城県立医療大学の山口忍でございます。本学会は1996年に創設され30年が経過しました。当初から本学会では「当事者を中心に据え政策を考え提案すること」を主軸に据え活動を展開してきました。コロナ禍のこの二年間は、オンラインでセミナーを開催、対面でのセミナーは1日での実施に改変し、テーマを設定しての会員間の情報交流、研究報告をしてきました。主に地域包括ケアシステムが本当に当事者中心になっているのかという議論を重ね、その議論の中でも住民関係の希薄化が憂う問題として取り上げられました。今、デジタル社会の到来を受け、改めて本学会でできることを考えていく必要があると思います。
デジタル社会においては、人との交流が最小限となっても情報は溢れ、さらなる新しいデータが生まれてきます。情報に惑わされる社会において、何が一番大切と思いますか。私たちが育った幼少期はテレビが出始めた頃でした。その時は、「目が悪くなる」「想像力が低くなる」「テレビは良くない」と周りの大人に言われて来ましたが、その後の社会は発展を続け今となっています。ですが、発展したのは情報機器だけではないでしょうか。人の「心」に発展はあったのでしょうか。世界幸福度レポート 2026での幸福度ランキングでは、世界147か国中で日本は61位で、昨年よりダウンしていることが分かりました。人の心が豊かになっているとは思えない結果です。人が人として育つには時間を要します。効率の良さなんてないと考えます。人は人に育てられます。それは原則でしょう。そこに必要なことは、人と人が直に対面し話すということではないでしょうか。時間がかかっても人に会いに行き、話す当てもない日常のことを集まってお話をするということがとても大事な時間と考えます。私が関わっている水俣学には現場主義という言葉があります。現場に行けばどんな暮らしをしているのか一目瞭然だという考えです。現場に行かず、AIと話していても現実はみえてこないでしょう。現場のデータからわかることはあるとは思いますが、データからは臭いを感じることはありません。風を感じることもありません。そこにいる人と話してわかることもたくさんあります。そしてその話は本音の話です。教科書的な理論的な話でも、優等生が答える正解でもありません。その人の心の中にある本当の気持ちが大切です。
私たちの学会は、当事者が抱える「本当の気持ち」を引き出し、分かち合うことを大切にしています。これからは、是非とも住民の声を聞く機会が持てる学会にしていきましょう。住民が政策つくりの専門家であると本学会員の岩永俊博氏は言います。その地域で暮らしているからこそ一番その地域のことを知っているのは住民です。その住民が必要としてることに制度をあてはめたり、あらたな政策を提言したりする活動は本学会だからこそできる活動です。本学会も高齢化をむかえ会員数が減少傾向にはありますが、住民さんがたと対等に話をして政策提言できる活動を目指していきたいと考えています。今後も皆様の闊達なご支援とご協力を心より期待しています。
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