-TOPICS-

機関紙「やどかり」8月号
(2001.08.15発行)


<1面記事>

それぞれの立場性を超えた協働の取り組みに向けて

 ここ最近,やどかりの里の様々な活動において,職員とメンバーとの協働を意識した活動が展開され始めている.こうした動きの大きなきっかけとなったのが,カナダのオンタリオ州で実現されているコンシューマーのイニシアティブの取り組みについて学んだことだった.オンタリオ州では,精神保健福祉施策の政策決定の際に専門職と当事者の協働の施策づくりが実現されている.
 平成12年1月には,カナダから専門職と当事者の方々を招き学習会を開いた.こうした専門職と当事者の協働での取り組みの実践から,やどかりの里は多くのことを学び,活動や運営を見直すきっかけにもなった.そして,職員主導の取り組みから,職員とメンバーとの協働の活動づくりへの転換を意識した活動への展開をはかりつつある.それぞれの立場性を超えた協働の取り組みは,今後社会の中の様々な場面 で実現されていくことが課題だろう.そのひとつが,政策決定の際に住民と行政との協働を実現していくことである.
 そもそも政策は,人間が生まれてから死ぬまでの暮らしを支える重要な柱である.そして,誰にとってもあたりまえの人間としての権利が政策には根付いていなければならない.しかし現在の政策が,本当に私たちが生まれてから死ぬ までの暮らしを有効に支えるものになっているのだろうか.政策決定の際,誰のための政策かということが置き去りにされていないだろうか.住民の暮らしに欠かせない政策が,本当に住民にとって有効なものとして,また一人一人の人間があたりまえに大切にされる政策となっていくことが重要だろう.
 これからの私たちの取り組みの中で,精神障害者も専門職もともにひとりの住民として精神保健福祉のビジョンを描き,政策決定への参画を実現していくことが課題だろう.人間一人一人の暮らしを有効に支えてこそ生きた政策と言える.そして様々な政策決定までの過程において行政と住民との協働を実現していくことが重要であろう.それは精神保健福祉施策においても例外ではない.  来る9月には,専門職と当事者の協働の取り組みなどを含め,その実際を学習する目的で数名の職員とメンバーがカナダのトロントへ出かける.その準備のために,日本の精神保健の歴史,精神障害者の人権などについての学習を重ねてきた.それぞれの国には独自の文化と歴史がある.そのことを踏まえ,これからの日本の精神保健福祉において,政策決定の際の自治体と住民との協働を実現していくこと,具体的には当事者の政策決定への参画を実現していくことが重要な課題となるだろう.私たちの暮らす街を本当に暮らしやすい街としていく取り組みはまだ始まったばかりである.


<第3木曜会報告>

精神保健福祉ビジョンを考えるために
〜第2回ワーキンググループの報告〜

 7月19日(木)の第三木曜会では,精神保健福祉のあり方を考えるワーキンググループの第2回目が開かれた.
 社会が大きく変動し,3市が合併しさいたま市となり,平成14年には精神保健福祉サービスの一部が市町村に移管される.これにより精神保健福祉を取り巻く情勢も大きく変化する.そのような中,精神保健福祉ビジョンをどのように描いていくのか.当事者として,専門職として,住民として考えていくことが求められている.そのためにはまず社会,そして施策の動向を知ることが必要であり,大きな流れを見極める力をつけることがワーキンググループの目的の1つである.
 当日は生活支援本部会議が主催し,精神保健福祉ビジョンづくりの必要性を感じるに至るまでの経過が説明され,それに向けての具体的な進め方が提案された.
 そして,施策が具体的にはどのように変化するのか,基礎的な学習から始まった.発表者は,関連施策についてその動向も含めて,できるだけ分かりやすく資料をまとめ,参加者の身近な問題として学習できるように準備した.
 まずは社会福祉施策について話された.社会福祉基礎構造改革や地域保健法の改正等,社会福祉や保健などの大きな変化があること.そうした状況の中,精神保健福祉法の改正に伴い,平成14年より市町村を中心にサービスが開始されること.そして,市町村がどのようなサービスを提供することになるのか,さらには,その一部を地域生活支援センターに委託できること等が説明された.
 また,さいたま市は2年後に政令指定都市になる予定である.政令指定都市になると,自治体としては都道府県と同じ権限を持ち,新たに多くの機関が設置されることになる.
 さいたま市には,保健所や精神保健福祉センターなどが新設される予定であり,そうした市内の機関とやどかりの里がどのような役割分担をしていくのか,大変重要な課題となる.そして,精神保健福祉サービスの市町村移管の理念は,住民にとって身近なところで相談が受けられる体制づくりを実現することである.そのためには,民間と行政の役割分担を明確にしたり,窓口となる市町村の人材育成が求められる.その中でやどかりの里の生活支援活動はどのような方向性をもっていくのか.今後の課題についても話がされた.
 発表を受けて,ケアマネージメントはどのように実施されていくのか,3障害統合の動きもあり,それが実際にどのような形で実現されていくのか,こうしたことも視野に入れることが必要等の声があがった.さらにこの街で暮らし,活動することを考えたとき,メンバーにとって何が必要で,何が不足していると考えるのか.具体的に検討する場を持つことの必要性も指摘された. 今回,私は発表者の1人となり,さまざまな制度や資源について学習する機会を得た.やどかりの里では,当事者の1人として考え,話し合う機会が頻繁にある.社会の大きな流れの中で,やどかりの里が向かおうとしている道筋は漠然と感じる.しかし,なかなか全体を視野に入れて考えることは難しい.ともすると流され,受け身にものを考えている自分がいる.そんな中,今回自分で施策の動向を調べ,活動を展開していく上で基本的なことを知ることの大切さを実感した.まずは足場を固め,そして視野を広げていくのである.今後もこのような機会の必要性を感じた時間であった.
(機関紙編集委員 高村 美鈴)

 


<7月の動き>

7/2 新潟市坂井東小学校へスクールカウンセラーとして柳派遣
7/3 新潟市憩いの家「きゃんばす」のボランティアに対して柳
     スーパービジョン
     埼玉精神保健福祉士協会役員会に白石出席
     やどかり情報館にて保健婦さんによる健康学習会開催
7/4 埼玉の精神障害者福祉を考える小委員会に谷中出席
7/5 佐賀短期大学より教員1名1日研修
     公益法人会計処理講習会に浅見出席
7/6〜8 セミナーIn出雲に谷中,浅見,檜山,仁木参加
7/7 やどかり研究所運営委員会開催
7/9 新潟信愛病院デイケアスタッフに対して柳スーパービジョン
7/10 全国精神障害者生活支援協議会第5回東京大会に浦崎参加
     大宮障害者施設連絡会総会に三石出席
7/11 かっぽへなす花出店
     さいたま市関係団体要望書づくりのための
     話し合いに三石,白石,佐々木,檜山出席
     健康診断実施
7/11〜12 福祉ホームリフレ21より3名1泊2日研修
7/12 さいたま市作業所平成12年度国庫補助金配分監査に浅見,浦崎
     出席/埼玉県精神障害者小規模作業所連絡会事務局会議に山口参加
     埼玉PSW協会世話人会に鈴木出席
7/13 東京大学より2名実習打ち合わせ
     深谷ボランティアグループ8名
     研修/東松山総合福祉エリア開所式に三石,須藤,吉江出席
     大宮中部生活支援センター福祉工房さわらびと交流会
     人力車にあゆみ舎出店
7/14〜15 丸地信弘先生と松本「梓会」の方々16名やどかりの里
        体験研修
7/16 新潟県五泉市精神保健ボランティア「虹の会」に対して柳
     スーパービジョン
7/17 新潟市いしずえ作業所職員に対して柳スーパービジョン
     大宮市医師会看護専門学校より24名1日実習
     「けやき荘」11名やどかり情報館見学
     日本福祉大学より1名実習打ち合わせ
7/18 フロンティア中津(大分)より2名1日研修
     湊信明弁護士に顧問弁護士就任要請(増田,三石,浅見)
     南埼玉病院より7人見学交流(於ドリームカンパニー)
     杉並区上井草保健センター地域健康講座「心の健康づくり」にて
     増田,堀講演
     埼玉県精神障害者社会復帰施設運営協議会宿泊部会に檜山出席
7/19 埼玉県立大学高畑隆氏編集会議
     さいたま市与野地区障害者団体協議会理事会に佐々木出席
     埼玉県精神障害者社会復帰施設運営協議会研修委員会に檜山出席
7/21〜27 浅賀正之氏の写真展「春から春へ」(花物語),
     やどかり情報館にて開催
7/23 千葉大学にて谷中講義
     埼玉県精神保健福祉士協会全体研修会に白石,渡辺,小林,佐々木,
     檜山,三石,鈴木,渋谷,福島出席
7/24 日本福祉大学より学生1名資格実習(2週間)
7/25 日加交流プロジェクト例会開催
7/26 講師派遣会議/人力車定例会高村参加
7/27 第19回体験発表会開催「私たちの人生って何」
     (こころの全体性に向かって)発表者 堀 澄清氏
     新潟信愛病院デイケアスタッフに対して柳スーパービジョン
     鉄道弘済会社会福祉部セミナーにて谷中講演
     獨協大学より14名1日実習
     人力車にあゆみ舎出店
7/28 平成13年度第2回定例理事会
     東新井団地夏祭りにドリームカンパニー出店
     第26回日本福祉大学社会福祉公開夏季大学にて香野(英)講演
7/31 児玉郡上里町福祉課民生児童委員11名1日研修
     日本福祉大学より学生1名資格実習(2週間)


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