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<1面記事>
「さいたま市」をどんな街にしたいのか
「さいたま市」をどんな街にしたいのか
5月1日,「さいたま市」が誕生した.旧浦和,大宮,与野の3市が合併し,人口103万人を超える大都市としてスタートした.5月27日には新しい市長も決まり,2年後の政令指定都市化を目指して,新しい動きが始まった.自治体が合併し,政令市になるということは,県の中に新たにもう1つ県ができるのに等しく,大きな変化である.
さらに,2002年からは精神保健福祉サービスの市町村移管も控えている.やどかりの里を取り巻く状況が激しい勢いで,変わろうとしている.
旧3市にまたがって活動展開を行ってきたやどかりの里が,この変化にどう向き合い,どう対応していくのかが問われている.旧3市でそれぞれに策定した障害者計画も新市として新たに策定し直す必要が出てきている.やどかりの里としても,今までの活動の方向性を見直し,今後の方向性を見出すこと,また,さいたま市民として新市の精神保健福祉のビジョンをどう描いていくかということが急務である.やどかりの里のメンバーと職員で,「さいたま市」をどんな街にしたいのかというビジョンづくりを目指したワーキンググループを組織して,具体的な検討を開始した.また,一方で社会の大きな変化を読み取る目を養っていくための学習会も始めた.
もちろん「さいたま市」に向けての動きは,やどかりの里だけで行うことではない.このようなやどかりの里内部での取り組みの一方で,市内の精神保健福祉活動を行う関係団体とも連携し,協力しながら,「さいたま市」に働きかけを行うことが必要である.そのための準備が進行中だ.まず,市内の各生活支援センターの施設長を中心に,市内の関係団体の連携をどう作っていくか,そして「さいたま市」に向けてどう働きかけていくかについて協議を行った.その上で,関係団体にも呼び掛け,「さいたま市」に向けて具体的にどのような働きかけを行うのか検討を始めている.今後,できるだけ早い段階で関係団体の声をまとめ上げ「さいたま市」に届ける予定である.
その際忘れてはならないことは,当事者の声や,現場の声を政策に反映させていくことである.加えて,関係団体それぞれの立場性の違いを越え「さいたま市」の住民として望ましい精神保健福祉のあり方を提言できるかということも重要である.住民主体の政策提言をしていくためには,関係団体が協力して情報を収集し,継続して学習を深めていくことが必要であろう.これは時間のかかることではあるが,市の動きも見極めながら進めていかなくてはならず,急務である.
いずれにせよ,「さいたま市」はスタートした.今後大きな変化が「待ったなし」の状況で次々に起こってくる.やどかりの里の私たちとしては,その動きの本質を見極めつつ,日常の活動で大切にしてきた価値を「さいたま市」の中で実現化していくことが,求められているのである.
<第3木曜会報告>
「ピンチをチャンスに変えていく」
6月21日(木)の第3木曜会では予定を変更し,先日起きた大阪府池田市の児童殺傷事件,その後のマスコミ報道をめぐって話し合った.やどかりの里のメンバー,家族,職員がこの事件で各々複雑な思いを持ったことは事実であろう.その思いを心の内に抱えずに話し合いの場を持とうということになった.
「今回の事件をどのように受け止めているか」
との投げかけに,様々な意見が挙がった.
「すごくショックだった.精神分裂病の人が皆あのように見られてしまうのか……」
「犯人は精神病を利用した.一緒にされたくない」
「容疑者の個人的な性格的欠陥が大きいのではないか.真面目にやっている障害者もたくさんいるのに」
等, 精神障害者ということで一くくりに見られてしまう危機感を話す人は多かった.
また,今回のマスコミ報道にも疑問の声が挙がった.
「若者が犯罪を犯せば若者が悪い.精神障害者が犯せば障害者が悪い.ステレオタイプに報道するのは危険」
「世論を操作して精神病への偏見を増長させたのは事実.マスコミ報道がどういうものかを受ける側が自覚して,それにどう対処していくかが大切だ」
マスコミ報道に対して,それに惑わされない自分であることが大切だと話し合われた.
「皆の話を聞いていても,職員としてこの先メンバーと共に生きづらくなるのではないかとの不安を感じる.保安処分,刑法改正との話も出ているが,このような動きに対して物を言っていくことが大切だ」
との声もあった.
「保安処分に関しては怖さを感じる.精神病の中でも区別
していく事は,最終的に自分たちの首を締めることになるのではないか」
「人間の人権よりも問題を起こさないようにと努めてきた社会の弊害は,ハンセン病の件でも明らか」
「響き合うことはぶつかり合うこと.地域で人と人が一緒に住んでいて問題が起こらないほうがおかしいのではないか.きれいごとだけではすまされない」
との声も挙がった.
「ああいう事件を起こす人は孤独なのではないか」
「国がお金を使って施設を作ってほしい.閉じ込めるのではなく,一人にならない環境がもっとあれば」
等,切実な願いも話された.
マスコミ報道のあり方の問題,それを受ける側の問題,精神障害者が犯罪を犯した場合の責任の問題,また,障害者を地域でサポートしていく態勢づくり,更には地域で共に生きるということ…….今回の事件は本当に様々な問題を社会に投げかけた.確かに病気に対する治療は重要である.しかし,この事件をきっかけに精神障害者を地域で支援する活動が後退してしまうようなことがあってはならない.あるメンバーは
「ピンチをチャンスに変えていければ」
と話していた.今こそ,障害の有無に関わらず地域で共に生きるということを,私たち一人一人が当事者として考えていかなければならないのだと強く感じる.
(機関紙編集委員 高村 美鈴)
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