-TOPICS-

機関紙「やどかり」7月号
(2002.07.15発行)


<1面 記事>


理事長の交代と「やどかりの里」
土橋敏孝(やどかりの里理事長)

 平成14年5月25日,「やどかりの里」の総会を迎え,1年間の暫定理事会による運営から正規の理事会へとバトンタッチされた.この1年間は,谷中理事長の「理事長を交代したい」との意向を受けて「理事会のあり方」を考えてきた1年でもあった.選出された理事の個々の力や「やどかりの里」を利用するメンバ−の思いが最大限生かせる民主的なものにしたいという願いも込められていた.

 昭和45年に始まった「やどかりの里」も32年の歳月が流れ,精神障害者や家族の方々にとって地域の中で適切な支援を受けながら「あたりまえの生活」をする条件が整いつつある.加えて,いま「やどかりの里」が存在するさいたま市中川は,かつての大宮市中川という位 置ではなく,これから発足する区の一部に所属する.「やどかりの里」はいくつかの区にまたがって存在し,合併した「さいたま市」の今後の精神障害者を始めとする障害者福祉の担い手として期待されよう.このような時代や現状の変化に対応する取り組みが新しい理事会に求められている.

 さいたま市では,現在「障害者計画」が新たに策定されつつある.三障害の連携と障害を持つ者が求める保健・医療・福祉の統合されたプランが必要である.そのためにやどかりの里では,当事者であるメンバ−も参加し,プランへの反映を図るべく努力をしている.このような計画づくりは市民の願いが込もったものとして関心を高めることが重要である.

 ある会合で,長野県北信圏障害者生活支援センタ−所長として活躍されている福岡寿さんが,「障害を持つ子どもを抱えているご両親の生活を生活支援センタ−を通 して支える中で,ご両親が変化し,再び自分達の人生を組み立て直す努力をされるようになった」と報告された.そして,「福祉の専門家は,課題を抱えて生きている人たちの願いに沿いながら課題を解決するお手伝いをする中で,相手が自分の人生を再構築していく力を生み出すものでなくてはならない」と.このことは,単なるサ−ビスの提供者ではなく,人生を一緒に考え課題を抱えている人の思いや願いを,改めて取り戻すための力となることであろう.

 さて,「やどかりの里」も,精神障害で苦しみ悩むメンバーが,病院を退院し,地域社会の中で自分に相応しい生活を取り戻すため,その人に必要なサ−ビスを地域社会に用意し,サポ―ト体制を確立してきた.それらは精神保健福祉法にも取り込まれ,日本全体の精神保健福祉の底上げに役立ってきたといえよう.このような努力の中30周年を迎えて,残されている課題と新しい時代に相応しい取り組みの課題を明らかにしてきた.大切なことは歴史の持つ実績を評価しつつも,現状を確認し対応すると共に,さらなるエネルギ−を吸収して前進を図ることである.我々の願いは,適切な医療の提供により障害を持っても地域社会において「あたりまえの生活」が可能な社会の実現である.ご協力いただきたい.

 


<第3木曜会報告>

さいたま市障害者計画に向けた情報共有

 現在,さいたま市では障害者計画を策定中である.当事者の声を反映すべく,アンケート調査がおこなわれたが,質問内容が画一的で,障害をかかえながら暮らしている実態は明らかにならなかった.その後,6月上旬にさいたま市から急遽ヒアリング調査の申し入れがあり,事前に調査票の提出を依頼された.

 ヒアリング調査に向け,やどかりの里では6月6日に話し合いを急遽行った.その後,職員,家族,そしてメンバーの間でそれぞれに話し合いの時間を持った.そこで,自分たちが暮らすさいたま市において,障害者施策を考える時,何を大切にしていくべきなのか,具体的な要望や課題が話し合われた.それらの話し合いと状態調査から導き出された5つの課題をもとに,やどかりの里として,障害者計画に取り入れて欲しい課題や取り組みを盛り込んだ調査票が増田さんによって文章にまとめられ提出された.

 6月20日の第三木曜会ではヒアリング調査にむけての内部での会議や,他の障害者団体の様子など,さいたま市の障害者計画にむけての情報の共有と今後の流れが確認された.

 メンバーからは「作業所や授産施設に通勤する時の交通費補助」「障害者手帳を利用して交通 機関が減免になるようにしてほしい」「生活保護の場合,収入申告をすると支給額が減ってしまい,働く意欲がなくなる.働くことを勧めるなら,収入を保証して欲しい」など経済保障を願う意見が多かった.

 職員からは,「今もなお長期入院をしている人たちが地域で暮らすための支援」「精神障害者の高齢化への生活支援」「働く場の確保と拡充」「思春期のさまざまな葛藤を抱える人たちへの支援」「行政の責任として公に相談窓口を設置すること,関係機関が集まり検討する場を設置して欲しい」という話がされた.また,家族の思いとして「安心して精神医療をうけられる医療の質の向上」も挙げられた.その他にも「入院中から退院後の暮らしのレールをひいてくれると助かる」「公の機関で相談できる所があればいい」との意見もでた.

 他の障害者団体の中には,ヒアリングの時間を延ばしてもらえるように交渉したり,ありのままの姿をみてもらえるように市の職員の方に自分たちの施設に出向いてきてもらってヒアリングを行うよう交渉した所もあるようだ.
 6月28日にさいたま市の職員がやどかりの里に来て,ヒアリング調査が行われる.メンバー2名,家族1名,職員2名で応じる.傍聴者に人数制限はない.市の職員の方には私たちの思いを充分に理解し持ち帰ってもらい,生の声を障害者計画に反映させてもらいたい.

 ヒアリング調査の申し入れがあり,実際に行われるまで1ヶ月ほどである.さいたま市の障害者計画のみならず,日本ではものすごいスピードであらゆることが決定されているような危機感を感じる.そこに住民の意見は汲みこまれているのか不安になる.しかし,今回は急とは言え,やどかりの里として意見を言うチャンスをもらった.さいたま市と一緒に障害者施策を考えていく第一歩になればいいと思う.現場の声を盛り込んでもらい,住民ひとりひとりが暮らしやすいさいたま市になるような障害者計画ができることを切に願っている.

(福田むつみ)


 

<6月の動き>

6/2 さいたま市大宮障害者団体協議会大会に香野(恵)参加
6/2 埼玉県介護福祉士協会総会にて辰村,白石講演
6/4 県庁,市役所,県社協に土橋理事長就任挨拶回り
6/4 「さるす」編集会議に長谷川出席
6/4〜5 松本地域精神保健福祉を考える会 15名体験研修
6/6 心の健康フェスティバル打ち合わせ会に檜山出席
6/6 埼玉県精神保健福祉士協会役員会に白石,鈴木(恵),堤出席
6/7 大正大学にて香野(英)講演
6/7 「輪っふる」広報担当者会議に宗野(政)出席
6/7 日本共産党の埼玉県議会議員 4名体験研修
6/8 静岡市にて編集会議に増田,西村出席
6/11 ヘルスケアネットワーク世話人会に増田出席
6/11 「さるす」特集座談会に長谷川出席
6/12 埼玉県社会復帰施設運営協議会事務局会議に渡辺出席
6/12 さいたま市障害者計画学習会に辰村,香野(英),増田,黒崎出席
6/12 「フローラの森」バザー打ち合わせ会に福田・川口出席
6/12 精神障害者居宅生活支援事業説明会 渡辺・高村出席
6/13 千葉市精神障害者家族会連絡会より41名1日研修
6/13 あげお福祉会にて増田取材
6/14 早稲田医療技術専門学校より39名1日研修 辰村講演
6/14 沖縄県石垣市「オブリ保育園」1名体験研修
6/14 沖縄県石垣市小規模作業所「いこいの家」1日体験研修
6/14〜15 全国精神障害者社会復帰施設協会年次総会と研究総会に
     佐々木,堤出席
6/14 埼玉県精神保健福祉士会中央地区会 世話人会に鈴木出席
6/15 やどかり研究所運営会議開催
6/15 宮城県石巻市にて西村編集会議に出席
6/15 大正大学実習指導連絡会に三石出席
6/16 クリーニング組合45周年誌出版記念会に増田出席
6/17〜29 日本社会事業大学学生1名資格実習
6/18 日本福祉大学にて香野(英)講演
6/18 「さるす」特集インタビューに長谷川出席
6/18 さいたま市与野障害者団体協議会理事会に佐々木・檜山出席
6/18 大宮障害者施設連絡会総会に三石出席
6/18 埼玉県精神保健福祉士協会研修部打ち合わせに白石,堤出席
6/19 丸地先生をお招きして人づくりセミナー実行委員会開催
6/20 「輪っふる」定例会に金子出席
6/21 県内医療機関に土橋理事長就任挨拶回り
6/21 国立精神・神経センター社会福祉学課程1日研修21名
6/21 埼玉県社会福祉協議会「会員・会費制度検討委員会」に増田出席
6/21 「福祉の市」実行委員会に福田出席
6/21 全国縦断キャラバンin東松山打ち合わせ
6/22 特定非営利活動法人「那須フロンティア」6名体験研修
6/22 障害者の職場参加を考える会総会・講演会に香野(恵)参加
6/24 埼玉県社会就労センター協議会雇用問題研究委員会に香野(恵)出席
6/25 滝口司法書士と法人登記打ち合せ
6/26 「フローラの森」バザー打ち合わせ会に福田・川口出席
6/26 さいたま市配食サービス南地区ボランティア連絡会に香野(恵)出席
6/26 「ハートフル川口」第4回地域生活支援勉強会に
      「エンジュ」のメンバーと職員が参加
6/27 埼玉県精神障害者社会復帰施設運営協議会総会に佐々木,白石,渡辺,
     堤,香野(恵),宗野(政)出席
6/27 全国縦断キャラバンin東松山
6/28 さいたま市障害福祉課ヒアリング
6/28 理事会開催
6/29 丸地先生をお招きして人づくりセミナー実行委員会開催
6/29 早稲田大学モダンダンスクラブをお迎えして,
     片柳公民館にて地域交流イベント開催
6/29 日本精神保健福祉士協会地域精神保健福祉委員会に高村参加


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