<1〜3面
記事>
第31会通常定期総会の開催
2002年度事業,新役員態勢のスタート
社団法人やどかりの里 第31回通
常総会は,5月25日(土),やどかり情報館にて開催された.総会の出席者94名,委任状提出者209名で,総会員393名の定足数197名を満たし,成立のはこびとなった.
今年度は通常の決算予算報告及び審議以外に,定款の変更,役員の改選を控えていたため,定款変更案や法人全体の決算,予算状況など,事前資料の配付が丁寧になされた.
総会は白石直己が司会を務め,議長は香野英勇理事が選出され,以下の議案を審議した.
1.平成13年度事業報告及び決算報告承認
2.平成14年度事業計画案及び予算案審議
3.定款変更審議
4.役員改選審議
5.その他
1号議案の事業報告については「所報」が作成されている.決算は昨年度までの決算処理と書式を変えたこと,これは法人全体の姿をより明らかにするためであり,私たちの活動がいかに補助金に依拠したものになっているか再確認せざるを得ないことが,浅見理事より報告された.審議の結果
,満場一致で本件は承認された.
2号議案では,まず増田常務理事が,精神障害者のための資源づくりに追われていたこの10年間を振り返り,今後は他の団体,自治体,住民といかにパートナーシップをとり
活動を展開していくかが重要であると語った.各部署の代表による活動方針が発表された後,予算案については,細目に渡り説明され,審議に入った.こちらも満場一致で承認された.
3号議案の定款変更について,まず増田常務理事より変更の理由が述べられた後,浅見理事が,本日の定款変更の最終案は所轄官庁である埼玉
県や司法書士と協議したものであることを述べ,変更箇所についての詳細な説明をした.質疑の後,全員異論なく承認された.
4号議案の役員の改選であるが,定款の変更承認を受け,昨年度1年間の暫定理事であった理事一同はここで一旦役員の辞任をし,その後14年度の新理事が選出された.新理事から3役を選出するため暫時休憩後,再開された総会において以下の3役及び役員が承認された.
理事長 土橋敏孝
副理事長 孤嶋圭子
常務理事 増田一世(統括渉外担当)
三石麻友美(事業担当)
浅見典子(総務財務担当)
理 事 粕谷慶治,志村澄子,柳義子,島田喜代子,香野英勇,
辰村泰治,吉江まさみ,山崎光夫
監 事 白石正喜,吉田悦実
以上の執行部体制で今後2年間法人の業務に携わっていくことになった.また,理事会から谷中輝雄前理事長の会長への就任が要請され,本人から快諾を受けた.
1人1人が活動の担い手に
−第31回定期総会の意味するもの−
5月25日,第31回(2002年度)定期総会が開催された.今回の総会によって,やどかりの里は大きく転換したといえよう.それは谷中輝雄理事長が会長となり,理事長が土橋敏孝理事長となったことである.
理事長の交代は,単に理事長の交代ということだけではない.設立30年を過ぎたやどかりの里が,これまでの経験を生かしつつ,次なる展開を目指していくという大きな節目を迎えたということである.理事長の交代,そして法人の定款の変更が,どのような経過で検討され,総会で決議されるに至ったのか,振り返ってみたい.
1997年が1つの契機,力量形成の自覚からやどかりの里は,1990年に社会復帰施設(通
所授産施設,援護寮)を開設し,10年の間に地域の中にグループホーム,地域作業所,生活支援センター,福祉工場とさまざまな資源を作り出してきた.目に見える形での活動は充実してきたが,大きくなる器に人材の養成が間に合わず,職員間で活動理念や方針を共有することが難しくなり,内部的な危機を迎えていた.そして,これまでの1人の突出したリーダーに依拠する組織運営の限界が見え始めていた.
1997年にやどかり情報館(精神障害者福祉工場)が開設され,資源開拓が一段落したころから,各部署に配属されている責任者(チーフ職員)の会議で,内部的な問題について話し合う機運が生まれ,まずは自分たちの力量
形成の必要性を実感するようになった.同時にやどかり情報館ができたことにより,同じ法人の中で精神障害者(メンバー)が利用者ではなく労働者として働き始めることにより,これまでのメンバーと職員のあり方についても,考えるようになった.
1997年は,ここ数年のやどかりの里の活動の転換のターニングポイントになった年であった.チーフ職員は,自分の担当部署だけではなく,やどかりの里全体を視野に入れ,活動の責任者として運営していくことを意識するようになっていった.これは,なんでも谷中理事長に依存するのではなく,1人1人が自分の頭で考え,行動することを意識化することでもあった.そして,組織が大きくなっているために,お互いの情報共有と話し合いを大切にして,やどかりの里全体の運営を考えていくようになった.こうした意識の転換から,これまでの職員主導の活動から,各部署であるいはやどかりの里全体で,メンバーとともに活動の運営について話し合い,決定していくようになっていった.
そして,1997年を1つの契機に,この5年は日々の実践を基盤にしながら,研修を重視し,それぞれの気づきを記録化しながら,研究活動にも着手してきた.そして,その中から導き出されてきたのが,連帯と協働による組織運営,活動づくりであった.その結果
,メンバーと職員がともに学習を重ね,活動の方向性を導き出しつつある.これにはやどかりの里の内外の多くの協力者の力があったことも事実で,職員やメンバーが自分たちの力量
を見極め,力量不足の点を多くの人たちの力を借りることで,補ってきたのである.
第30回定期総会の問題提起から第31回定期総会は,こうした過程を経て迎えた総会であった.具体的には,第30回定期総会での谷中理事長からの問題提起に応える形で,1年間「理事会のあり方を考える会」を開催し検討してきた.谷中理事長の問題提起は,補助金事業が増えてきた中で,社団法人で活動を続けるのか,社会福祉法人化を検討するのか,そして,自分は今年度1年で理事長を退任したいので,あとの態勢を考えて欲しいということであった.
そして,昨年度常務理事となった私を中心に,「理事会のあり方を考える会」を発足することが総会で決まった.理事会からは土橋副理事長,孤島副理事長,粕谷理事,職員の浅見理事,宗野政美氏,坂本智代枝氏,メンバーの香野理事,峯野理事,吉江まさみ氏,家族の山田まさ子氏,会員の泰勝磨氏らに参加を要請し,4回にわたる会合を開催してきた.
この中で,創設者でもあり,活動をリードしてきた谷中理事長の存在の大きさを確認し,内外に与える影響の大きさについても話し合ってきた.しかし,どんな組織においても世代交代は行われなくてはならず,30年の大きな節目を迎えたところで,理事長が北海道医療大学で,人材養成に力を注ぎたい,新たな障害者計画の策定時期にあたり,国の大きな流れを作っていくところで,自分の役割を果
たしたいという思いも受け止め,理事長交代もやむなしの結論を出したのである.
もう1つの社会福祉法人化については,精神保健福祉法の中では,現在の活動を社団法人で行っていくことに問題はなく,社団法人の持つ意味を積極的に捉えていこうという結論となった.1人1人がやどかりの里の活動を支えていくのだという考え方の大切さである.もちろん,さまざまな補助金によるサービスを利用する人に,法人の会員になってもらうことを義務化するものではない.法人会員はきわめて自主的なものであり,やどかりの里の活動の方針に共感し,1人の担い手となっていくことは自身の選択である.しかし,サービスの利用者としての自分から,自分も何かに貢献できる,関与できるという意識の転換が,病気の回復にも繋がるのだという指摘をするメンバーの発言もあり,社団法人の会員であることの大切さを自覚していくこととなった.
こうした基本的な考え方について話し合う一方で,定款の見直しを行っていった.30年前に作られた定款は,現実にそぐわなくなっている部分もあり,文言の修正,また,会長職を創設し,創設者の谷中輝雄氏を会長としたいということも話し合われた.
理事会のあり方については,地域の住民の方に参加いただけないか,やどかりの里の活動が地域の人たちに開かれた形にしていくためにも地域の方に理事になっていただくことが大切であると指摘された.また,活動の広がりを勘案し,3人の常務理事態勢についても検討し,理事会で提案することとした.こうしたことが理事会に提案され,協議され,総会に提出されたのである.
第31回定期総会終了後に開催されたやどかり研究所主催の学習会の講師は谷中輝雄会長であった.やどかりの里の原点について,インタビューに答える形で語った.その中で印象に残るのは,精神障害者との出会いの中で,自らの人生を決定し,出会いの中での気づきと学び,そして憤りによって,やどかりの里の理念を築いてきたことである.これは出会った1人1人のありのままを認め,この人とどう生きていくのかという,その時々の真剣勝負であった.私たちは,この思いをしっかりと受け止め,これからの活動を創り合っていくのである.
(増田 一世)
<第3木曜会報告>
さまざまなイベントの企画開催に向けて
5月16日(木)の木曜会は以下の通
り.
日米メンバー交歓会について
昨年度より「来日メンバー受け入れを考える集い」で話し合われてきた.日程は10月14日〜10月21日の8日間で,ゲストは7名.中身もやどかりの里体験研修,合同旅行会や日米セミナーが予定され,今後は調整会議で役割分担等検討する.考える会メンバーも募集中.
日米セミナーについて
考える会よりやどかり出版文化事業部が依頼を受けて開催予定.中身は実行委員会形式で企画から検討していく.興味のある人はぜひ共に企画しようとの誘いもあった.
法人会員親睦旅行会について
合同旅行会が法人会員の交流の場として復活する.日程は10月16,17,18日で,場所や中身等を一緒に考える幹事を募集中とのこと.
地域交流委員会について
バザーを見直し後,地域交流・会員交流を軸にしたイベントが11月17日の日程で企画されている.
コンサートイベントについて
エンジュのお弁当を注文する中村さんという作曲家の方より,力になれればとコンサート開催の提案があった.橋詰さんという方の広島での被爆体験を基にした語りと曲のコンサートで,木曜会でもその様子がテープで流された.凄まじくて生々しい被爆の体験であった.今後この企画をどう受け止めていくか,話し合いの場を持つ予定である.
(高村 美鈴)
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