やどかりの里は5つの課題にどう取り組んできたのか
今年度の見直しとこれからの見通し
第30回やどかりの里の定期総会(2001年5月)で,2つの状態調査(詳細は『響き合う街で』18号 やどかり出版)で導き出した課題をやどかりの里の課題として取り組むことを決議した.チーフ会議では,いずれも大きな課題のため,課題に取り組むにしても1つ1つの課題について話し合って,共通
認識を持つ必要があるだろうと考え,そこで,この1年間に4回にわたる話し合いの機会を設けた.
4月15日(日)課題1「学習を進めていく課題」,課題5「やどかりの里が30年かけて築いてきた価値を普遍化し,競争社会ではない社会を作っていく課題」
6月24日(日)課題2「精神医療に関する課題」
11月11日(日)課題3「働き場所を広げていく課題」,課題4「財政基盤を拡充していく課題」
2002年3月7日(木)1年間かけて話し合ってきた5つの課題を整理し,共有する時間を設けた.さらに今後の課題への取り組みについて検討した.
3月7日の話し合いの前に5つの課題についての話し合いを要約した記録が事前にやどかりの里の各部署で配布された.そして,1つ1つを振り返りながら全体討論を行った.
後半では,これからの方向性について確認されていった.
この1年間,5つの課題を時間をかけて確認し行動する中で,5つの課題が相互に関連していることが確認できた.そして,この5つの課題を1人1人が統合して捉えていく努力が必要であろうと指摘された.そして,この課題は状態調査から導き出され,それぞれの生きざまの中でみえてきたことなので,より身近にこの課題を捉え,日常の活動の中で意識していくことが必要であることも話し合われた.
そして,これからは5つの課題を下敷きにしながら,定期的に活動の見直しをしていくことが確認された.その中で,取り組みが進まない部分も明らかになり,自分たちの実践のありようも整理されることになるであろう.そして,5つの課題を下敷きにした活動の見直しについても,やどかりの里の全体の問題として位
置づけるために総会で議論し,やどかりの里の活動として位置づけていくことが必要だという意見もあり,参加者の同意を得た.
また一方で,状態調査はやどかりの里の実態の中から生まれてきたものであり,導き出された5つの課題は現場の中に介在している問題ばかりである.今後は総論的に押さえられた各課題をそれぞれの現場で再点検し,やどかりの里の内部の充実を図ることの大切さが指摘された.
<第3木曜会報告>
「札幌すみれ会研修の報告」
2月21日の第三木曜会では,札幌すみれ会に行ってきた4人のメンバーより報告があった.今回は,いつもより参加者が多い上に,長崎や,新潟からの研修の方も加わり関心の高さを感じた.
まずはじめに,すみれ会について説明があった.すみれ会は1970年北海道立精神保健センターの卒業生によって結成され,会員数220名を超える日本最大の患者会であり,作業所を当事者が職員となり運営していることや,当事者自身が行政との交渉を活発に行っていることなどが語られた.全体的に当事者が主導になって活動を動かしているという印象を受けた.
次に準備会メンバーで話し合われたこととして,やどかりの里とすみれ会との比較の中で感じたことを語った.やどかりの里では,メンバー間で活動に対する意識に格差があること,しかし現在の生活支援のサービスは現代社会の中では努力しないと維持できないことを今回の報告を通
して伝えたいと話された.これを風呂に例えて「皆が居心地が良いと感じるようなちょうど良い温度を保つには努力しないと難しい」とイラストを使って説明してくれた.現在の居心地の良さが,ただ安穏と続くわけではないとの危機感を持ちながらも「一気に飛躍しようと思うと負担がかかる.少しづつ目標に近づけばいい.なぜなら無理して絶対に入院したくないから」という発言があった.ただすみれ会の活動を真似るのではなく,自分たちのペースは守りつつ,良いところは吸収するというメッセージを準備会メンバーから感じた.問題提起の後,4人からそれぞれの感想が語られた.
「すみれ会は作り上げるところから患者が働いている.一方やどかりの里は職員に多く頼ってきたのではないか」「外からやどかりを見ることで改めて自分たちの活動のことが分かった」「すみれ会のメンバーのパワーはすごいなと思った.ショックを受けた2日間だった」と語った.
次に,全体討論に移った.「患者だけで職員の仕事をしているのはすごいと思う」「やどかりはやどかりの良さがある」「すごいけど,そんなにエネルギー使って活動ができるのかと疑問に思う」という意見が出た.すみれ会の活動に対するエネルギーに圧倒される思いと,自分たちのペースは守りつつ活動を他人任せにしないという思いが語られた.
皆が活動に対して「居心地の良い湯」と感じているかの確認.
「居心地の良い湯」を,メンバーと職員がどう話したら見つける事ができるかの模索.
学習会の充実.自前のものだけではない大きなネットワークの構築,などの必要性が話された.他にも,「職員も一緒に活動を作っていきたいと思っていた.すみれ会がちょうどいい温度を保っているのはやどかりと共通
する所があるのではないか」という意見が出された.
最後に準備会メンバーより,今後も交流を続けたいとの意見が出された.職員からはメンバーが外の活動に参加する時組織的にバックアップできないかということを検討したいという提案があった.3月19,20日にすみれ会との交流会がある.参加希望者は香野英勇さんまで.
(鈴木 恵)
<理事会報告>
平成13年度第5回定期理事会が1月26日(土)に開催された.出席者及び議事の内容は次の通
りである.
出席者:谷中,孤嶋,増田,柳,小山,峯野,香野(英),島田(喜),三石,浅見
委任状提出:土橋 欠席:粕谷,志村
埼玉県社会復帰施設実地調査終了報告
1月18日に県の実地指導が実施され,終了後の講評について浅見理事及び増田常務理事より報告があった.県より7名が来里し,やどかりの里側は11名が立ち合った.大きくは研修伺いや出張命令簿,研修報告などの研修関係,利用希望者の受理経過など,行われていることすべてを記録化するということを指導された.県よりの正式な指摘事項を受けてから,対応できるところは改善する予定である.
来年度理事改選について
理事長の交代申出に伴い今年度の理事は1年間の暫定となっている.ついては来年度の理事選出に向け準備が必要な時期となった.メンバー理事は今回もメンバーが選出方法を含め検討する.職員はチーフ会議が主となり選出に当たる.次回の理事会までに代表者を選出し,新旧理事の顔合わせを行いたい.
その他
避難訓練の報告
14年1月10日援護寮,授産施設合同の避難訓練が実施された.消火訓練をし,消火器の交換,緩降機の修繕等を行った.
まごころの設備整備費認められる
前回の理事会で承認されたまごころの補正予算がさいたま市で受理され,シャッター工事の設備整備事業が認められた.
次回理事会は3月28日(木)午後1時より
(浅見 典子)
<総会のお知らせ>
平成14年度定期総会が開催されます.
日時 平成14年5月25日(土)
午前10時から12時30分
場所 やどかり情報館 コミュニティホール
さいたま市染谷1177−4
社団法人として一番大切なのが総会です.出席ください.審議の内容,委任状等は別
便で発送いたします.なお,午後からは昨年に続きやどかりの里の歴史を学ぶ会を開催します.副理事長の孤嶋圭子さんに「やどかりの里と私」というテーマでお話を聞く予定です.孤嶋さんは設立当初より惜しみない応援をしてくださった方で,谷中理事長の学友でもありました.頑なな心が解き放たれるような,素敵なお話しが聞けそうです.こちらも是非参加してください.
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