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応益負担問題を改めて問う
障害者自立支援法と松嶋元障害保健福祉企画課長問題
2005(平成17)年10月31日,忘れもしない,障害者自立支援法(以下,「法」)が成立した日だ.この「法」は,応益負担,報酬の日額払いへの変更など,従来の福祉制度を大きく変質させた.なかでも応益負担の導入は,この国の福祉の根本を覆すものであった. そして,障害のある人や家族を直撃し,いのちさえ脅かす状況を招いている.
そうしたなか,今年8月,障害福祉関係者が愕然とする報道があった.前厚生労働局長九州厚生局長の松嶋賢氏が,2005(平成17)年11月に,大阪府枚方市の社会福祉法人から中古の高級車を無償で譲り受けていたことが分かった.他,個人家屋のリフォーム代など,利益供与の総額は数千万円とみられている.当時,松嶋前局長は社会福祉法人を監督する立場にあり,利害関係者からの金品の受け取りを禁じた国家公務員倫理法に違反する疑いがもたれると報道された.
松嶋前局長は,2002(平成14)年8月から厚労省社会・援護局の地域福祉課長,2004(平成16)年7月から同局障害保健福祉部障害福祉課長を務めた.かの「今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案)」が出されたのが10月.この施策が諮られた社会保障審議会障害者部会で,松嶋氏は福祉課長として,村木企画課長,塩田障害保健部長と並んで座していた.
また,2005(平成17)年10月,まさに法案が国会に再提出される局面には,同部企画課長の任に就いていた(後,昨年9月に九州厚生局長に就任,8月24日に厚労省を辞職).企画課長職は,障害のある人たちの暮らしに関する事実上の政策責任者である.その任にあった彼が,「法」成立の直後,数百万の高級車を受け取っていたのだ.
今年6月,埼玉県内の障害関係6団体で行われた障害者自立支援法に関するアンケート調査では,回答のあった232施設のうち,「法」成立後の退所者が75人,退所後施設を利用していない人が26人,利用料の滞納が156人という結果が出た.滞納の理由として,負担が多くなり家族の暮らしが成り立たないとする人が34人あった.もうすでに退所してしまった人々は,いま,どのような日々を送っているのだろうか.利用料を滞納している人々は,どんな思いにさらされているのだろうか. あたりまえに暮らすこと,働くために必要な支援を受けるだけのことに,なぜ,これほどの苦痛を強いられなければならないのか.
一方で,市井の金銭感覚もなく,公人としての倫理に触れる疑いが持たれる人が「法」設計の責任者であったかと思うと,強い矛盾と憤りを感じずにはいられない.退職金の返納で問題解決,これでよいのだろうか.
そもそもこの「法」は,国の財政問題に起因し,応益負担はその最たる象徴である.福祉の基本理念にかかることに十分な議論のないまま施行され,そのずさんさが人々を追い詰めている.本来福祉とは,人々の幸せを支えるものであったはずだ.
10・31を今年も迎えようとしている.10月30日に,「法」見直しを求める集会が日比谷で開かれ,31日には国会要請行動が行われる予定である.
改めて,この国の福祉のあり方を問うていこう.
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