-TOPICS-

機関紙「やどかり」10月号
(2006.10.15発行)


<1面 記事>

「さいたま市っていいね」を実現するために

 
 さいたま市障がい者施設連絡会とさいたま市障害者団体協議会では,さいたま市9月定例議会(以下,9月議会)に先立ち,8月30日に障害者自立支援法(以下,自立支援法)施行に伴う市への請願を57,377筆の署名と共に市議会事務局へ提出した.自立支援法のサービス利用にかかる利用者負担について,市独自の負担軽減策を講じることを請願項目とし,請願行動を始めて僅か2か月間で集まった署名である.

 9月議会では,11日,12日に市政に対する各会派からの一般質問(以下,代表質問)が行われた.請願行動の行く末を見守るため,市内の障害がある人,家族,関係者が傍聴席84席を埋め,その他議会会議室や市役所ロビーで傍聴した人を含めると2日間で延べ470人が集った.

 代表質問では,8会派より9人の議員が質問に立ち,内6人が自立支援法に関する内容を取り上げた.市としての利用料負担に関する見解を問う質問や,障害者の実態をどのように認識しているのか,今後検討するのならば具体的にどう取り組むのか,また,その時期はいつか,などの質問が上がった.それに対し,実態を把握することが唯一市からの具体的な回答であった.

 相川宗一市長は質問に対する回答の中で,自立支援法は全国で均一の基準があり,その範囲で提供されることが必要であるとしながらも,「私としては,障害のある人たちに急激な変化のあると感じており,適切な対応を考えていく」と市長としての見解を述べた.

 市政について多種多様な議論が行われる市議会で,これだけ多くの会派が自立支援法に関する質問を取り上げたこと,更に市長自身の考えが出されたことは大きな一歩である.様々な立場,信条を超え,障害のある人,家族,関係者が一丸となった請願行動で得た約6万筆の署名とそこに賭ける思いが市政に反映される僅かな兆しが見えてきた.

 障害を越えた多くの人々と協働しての署名活動,市議会議員への働きかけや市議会の傍聴など今回の請願行動を通し,やどかりの里としても初めての取り組みが数多くあった.特に市議会の傍聴では,市の政策が決定されていく過程を知る機会となった.ここ数年やどかりの里では,日本の障害者政策について考えるとき,社会保障に関する政策や経済政策など国全体の動向から目の前のことだけではなく,その背景を見据え,問題の本質を見極めていくことが大切であると学習を重ねてきた.足元であるさいたま市についても,自立支援法に関する施策だけではなく,市政全体の動向を見守ることが大切であろう.

 9月議会の会期終了後に,保健福祉委員会で請願について検討がされる.8月30日以降,署名の数は6万筆を越えている.1日も早い施策の実現を求めるためには,更に署名の積み上げが必要だ.「さいたま市っていいね」と私たち自身が感じられるよう諦めずに行動することは,市政へ大きな影響を与えるだろう.
 さいたま市の障害のある人,その家族,関係者が一丸となって,自らの権利を勝ち取るための第一歩が記された.


(C)Copyright 2006
Mental Health Incorporated Body Yadokari-no-sato
all rights reserved
本ホームページからの無断転載を禁じます