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さいたま市における社会的入院の解消に向けた新たな取り組み
〜体験型居住支援事業に着手〜
やどかりの里が活動を開始して,今年で35年目に入る.精神病院で長期入院を余儀なくされてきた人たちが,1人でも多く地域で「ごくあたりまえの生活」を送れるよう,地域での活動づくりに尽力してきた.1990年には,援護寮と授産施設からなる社会復帰施設を建設し,より多くの長期入院者が退院できる場ができた.昨年度までに60名の方が退院してきており,その多くが援護寮からグループホームへと移行し,地域での生活を可能にしてきている.
現在,さいたま市において,精神障害者の暮らしの場を支える資源は,援護寮1か所,グループホーム10か所であり,それらはすべてやどかりの里が運営している現状にある.そして,市の障害者計画においては,グループホームをあと1か所設置すれば,数値目標は達成である.援護寮の定員は20名,グループホームは現在48名の定員である.そして,あと1か所のグループホームができたとしても4〜6名程の増にすぎない.さいたま市には6つの精神病院があり,1260床の病床数を数え,その内の5分の1の250人が,退院後の支援が整えば地域生活が可能な状況にあるとされている.さいたま市が掲げる数値と,社会的入院者数との格差をどのように考えていけばいいのだろうか.
やどかりの里では,昨年度より退院促進プロジェクトを立ち上げ,具体的な退院促進に取り組むと同時に,市内の精神病院のソーシャルワーカーや,保健センター,保健所の関係者と退院促進に向けた学習会などを進めてきている.
そうした中で見えてきたことは,社会的入院とされている人たちは,より手厚いサポートがあれば地域生活が可能であり,既存の支援態勢とは異なる,多様な支援のスタイルが必要となってくるということである.退院促進の取り組みが進んでいくにつれ,その必要性は高まってきており,やどかりの里においても,生活支援活動の主要な課題として話し合われるようになってきている.
そこで,援護寮,自立型グループホーム,そして昨年度より取り組み始めた世話人が積極的に関わる支援付グループホームの3つのバリエーションに加え,援護寮から1人暮らしに移行する人や,家族同居ではあるが,1人暮らしの体験を試してみるといった,体験型の「チャレンジハウス」の取り組みを下半期試行的に始めたいと考えている.
既存の資源では実現しにくい体験型の居住支援に取り組むことによって,より多くのニーズに応えることができ,地域生活をより可能にする環境整備ができるのではないかと期待している.そして,この取り組みにフィリップモリスジャパンの企画する市民活動助成金がいただけることになり,早速10月より取り組む予定である.この実績が,さいたま市における新たな社会資源づくりに繋がることを願いたい.
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