-TOPICS-

機関紙「やどかり」8月号
(2007.08.15発行)


<1面 記事>

やどかりの里の働く場が組織にもたらしたもの
今,改めて組織の原点を見つめ直す

 今年度,食事サービスセンターエンジュ(通所授産施設),喫茶ルポーズ(小規模作業所),やどかり情報館(福祉工場)が活動を開始して10年が経過した.やどかりの里としても,組織の変革に取り組んできた10年であり,この3か所の働く場が組織活動に与えた影響も大きかった.

  喫茶ルポーズは,1996年8月に,「普通の喫茶店で働きたい」という1人のメンバーの夢から活動を開始した.喫茶ルポーズは,街の中の喫茶店として,また,地域の人の憩いの場として,活動を充実させてきた.また,地域の高齢者の宅配事業の配達拠点としての役割も果たし,配達のボランティアを職員,メンバーが行っていた時もあった.そうした取り組みから,街で暮らす人の顔や暮らしぶりが見え,地域の課題は自分たちの課題でもあると,「地域を見る視点」ができたことは,その後の新たな活動展開の柱となっていった.

  翌年1997年4月には食事サービスセンターエンジュの活動が開始.障害のある人が健康を守りながら働く仕組みづくりと同時に,地域に暮らす高齢者の食のニーズに応える取り組みが始まった.障害のある人が働くことを実現することだけでなく,地域に求められるサービスを提供していくという発想は,「やどかりの里があってよかったと思える」お互い様の関係を地域の中に創り出していった.
  この2か所の働く場の取り組みから見えてきたことは,これまでサービスや支援を受ける立場にあった障害のある人たちが,地域の人たちへのサービスの担い手でもある,という大きな価値転換をはかるきっかけとなったことである.

  また,同じく1997年に開始したやどかり情報館の取り組みからは,メンバーが労働者として働く意味や,メンバーと職員の協働の取り組みの重要性が浮き彫りとなった.障害のある人の体験をマイナスからプラスへと転換していくことに価値を見出し,出版活動・研究活動・講演活動を通して,社会へ発信していく取り組みを行ってきた.
  やどかり情報館の取り組みは,障害のある人の労働という視点を強く意識したことが大きい.権利としての労働,そしてそれを支える仕組みづくりと,制度が確立されていくことの重要性を明らかにした.

  各活動が開始されて10年.活動からの学びや気づきを通して,やどかりの里は組織としても成長してきた.地域の人の顔が見える街づくり,地域に貢献する住民との支え合いの活動づくり,障害のある人の労働者としての権利の保障,障害の体験や生きざまの中にある普遍的な価値,職員とメンバーとの協働など,現在の組織基盤をなす柱を実践から作り出してきた.

  本紙では,これら3か所の働く場の活動づくりがやどかりの里の組織に何をもたらしたのか,その取り組みを来月号より連載で報告していく.各活動の10年の節目を機に,再度,組織の原点を見つめ直す企画としたい.


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