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今このままでは「移行できない」新事業の改善を
厚生労働省障害福祉課事務連絡の波紋
6月半ば,一通の事務連絡から,大きな衝撃が全国の障害関係者に広がった.
その文書とは,都道府県・政令指定都市・中核市の障害保健福祉主管課宛に出された,6月14日付厚生労働省障害福祉課の事務連絡文書である.この文書により,精神障害者社会復帰施設などの今年度の国庫補助所要額の内示は,上半期(4〜9月)は3月の主管課長会議等で示された単価表に基づき算定した6か月分の額とするが,下半期(10〜3月)については6か月分の所要額の合計額に新体系への移行後の残存率75%を乗じた額とする旨が自治体へ“連絡”されたのである.
一読しただけでは分かりにくい内容ではあるが,国庫補助金の額が現在の施設の75%分しか確保しないと読み取ることができる.「残存率75%とはいったい何か?」「下半期の補助金は25%カットということか?」など,関係者からは疑問の声が上がった.自治体担当者からも「想定外のこと」「あまりの内容に,関係施設に情報提供することをためらった」などの反応が返される事態となった.
障害者自立支援法(以下,法)はこの4月から段階的に施行され,10月から本格スタートする.しかし,7月に入った現段階においても新事業の内容の詳細は明らかになっておらず,移行の準備をする時間的ゆとりもなく,全国的に見てもこの10月から新事業へ移行する施設は少ない.とても現在の施設数の内25%も移行できるとは考えられないのである.やどかりの里も10月からの移行は見送っている.また,この4月からの補助金は既に5%カットされており,各施設とも厳しい運営を強いられている.これ以上の補助金削減は,施設の運営に深刻な影響を与える.そうした現状で,今回の通知が出されたのである.全国の関係者の受けた衝撃の大きさは容易に想像できよう.
その後,厚生労働省は,自治体からの問い合わせや障害者団体の全国組織からの緊急の申し入れを受けて,6月23日付で事務連絡を出した.この文書では「下半期について『75%』としているのは,こうした新たな事業体系へ移行が進んだ場合を想定したものであり,下半期の各施設の運営費単価が75%になるというものではない」と明記した.しかし,一方で,「国庫補助金にかかる交付決定等の執行手続については,本年10月以降の新体系への移行状況を見つつ,対応することとしている」とも書かれていた.
各施設の運営費単価が25%減になるものではないとしながらも,現段階では補助金がきちんと確保されているのか,はっきりしない書き方である.いずれにせよ,補助金削減の可能性をちらつかせながら新体系への移行を強く迫っているようにも受け取れる今回のやり方は,納得のいくものではない.今後も厚生労働省から出される通知を注意して見守っていく必要がある.
この問題は,単に施設の運営が成り立たないという問題ではなく,応益負担の問題に象徴されるように,法の本質的な問題から捉えなければならない.多くの施設が新事業体系に「移行しない」のではなく,「移行できない」状況は新事業体系への声なき批判である,と捉えることができよう.
今後も法による障害のある人への負の影響が少しでも軽減できるよう,全国の関係者と手をつなぎながら改善に向けた動きを作っていかなければならない.
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