-TOPICS-

機関紙「やどかり」7月号
(2007.07.15発行)


<1面 記事>

コムスン問題を考える
問題の本質はどこに

  介護サービスの最大手企業「コムスン」が,介護事業で不正行為が発覚し,売却されることになった.全国の高齢者や障害者が,日常生活に不安を抱えていると思うと,心が痛む.

 今回のこの事態,問題の本質はどこにあるのだろうか.一企業であるコムスンの経営陣を責める野次馬的な報道に,問題の本質をすりかえ,全てをコムスンの責任だとする厚生労働省に,危機感と怒りを覚えずにはいられない.
 「介護の社会化」を謳った介護保険法が施行されたのは2000年.そして,「介護サービス」を担う事業所を全国各地域に増やす目的で,国は規制緩和を図った. そんな中,コムスンは,訪問介護サービスや施設サービスを日本全国で展開させてきた.24時間365日の訪問サービス,離島でもサービスを提供するという企業は,コムスンだけだった.
 そうしてコムスンは,介護保険法の波に乗り,企業として利益を上げてきた.同時に国は,「全国一律に介護サービスを」という方針をコムスンのような企業の存在によって実現してきた.いわば,これまで両者の利害は一致していたと言える. それなのに,なぜこのような事態に陥ったのだろうか.

 今回の事態の引き金となったのは,介護保険制度そのものの不備ではないか.コムスンの不正行為は良くない.しかし,全てがコムスンの責任に期して,問題解決とは言えない.今回のような例は,氷山の一角ともきく.事業所や人材を確保し,良質の安定したサービスを提供し続けられるだけの制度なのか,介護報酬の単価の低さからしても疑問である.

 そもそも,規制緩和の名の下に「福祉」を介護ビジネスとして市場化した,国の政策の誤りなのではないか.企業は,利益を上げねばならない.どんなに必要で重要な介護サービスを担っていたとしても,儲からなくては,撤退するしかない.そんな企業が本当の「福祉」の担い手になりうるのだろうか.国が「福祉」の担い手を,できるだけ少ない財源で確保しようとしているように見えはしないか.

 今回,厚生労働省は「利用者のサービスを確保し,不安を解消することが最優先課題」としている.どこか,無責任に聞こえてならない.コムスンが事業撤退するだけで終わらせるのではなく,制度そのものの根本的な見直しこそが必要なのではないか.
 また,介護保険法との統合を視野に入れた障害者自立支援法の影響を受ける私たちにとっても,見過ごしにできない.私たちは,そこに内包している問題の本質を,きちんと見据え,考え,行動していこう.


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