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機関紙「やどかり」5月号 (2008.05.15発行)

活動ビジョンの構築を目指して
「1人1人が主人公」を実現するために

 新年度を迎え,後期高齢者医療制度が強引 な運びで混乱とともに始まった.そして,生 活保護の通院移送費の削減など,人々の暮ら しを切り下げる政策が容赦なく続いている. 背景には,自助と共助を強調し,公共サービ スを削減し,競争市場に委ねるという,構造 改革という名の国の経済抑制政策がある.

  障害分野では,「今後の精神保健医療福祉の あり方等に関する検討会」も始まり,社会保 障審議会障害者部会で障害者自立支援法の見 直し論議が急ピッチに進む気配である.

  こうした社会情勢の中で,やどかりの里は ビジョン検討委員会で活動理念と活動方針の 明文化を行った.目先の政策動向に振り回さ れず,先達たちの培ってきたもの,障害のあ る人のニーズ,関わる人たちの思いを重ね合 わせながら,何を大切に歩んでいくのかを話 し合ってきた.今年度は,やどかりの里40 周 年を見据え,具体的な活動ビジョンを描き出 す1年となる.

  自立支援法施行後は,障害分野では自立支 援法に基づく事業体系に,現在の活動をどう 対応させ,活動をどう維持するのかに終始し がちである.しかし,こうした大きな変革期 には活動ビジョンを構築し,広い視野に立ち, 本質的な議論を重ねていくことが大切である.

  やどかりの里には,30 周年を機に行った2 つの状態調査から導き出された「やどかりの 里の5つの課題」という大きな指針がある. 今まさにこの指針をどう具体化していくかが 問われている.この10 年弱の取り組みからも たくさんのヒント・手がかりを見出すことが できる.① 地域の中で関係機関,行政,地 域住民とのつながりを強めていくことの大切 さ,② やどかりの里だけでは難しいこと も,他の施設と協力することで,地域の中で 必要とされる仕事起こしの可能性,③ やど かりの里を利用するメンバーや家族の潜在的 なニーズや新たなニーズを捉え,法や制度を 活用して新たな活動や事業を進めること,④ 必要な支援に結びついていないさいたま市 内の多くの障害のある人の実態を把握し,ニー ズに応えていくこと,⑤ ニーズに基づいて 先駆的に取り組む事業を施策化していくこと, 等々である.こうした実践から導き出された ヒントからやどかりの里が今後果たすべき使 命とその実現への道筋を描くのである.

  そして同時に,担い手は専門職に限らず, 障害のある人,家族,住民と,その層を広げ, その人たちが成長・発達していくための環境 を整えていくことも求められている.

  やどかりの里の5 つの課題では,「競争優先 の社会ではない社会をつくっていく」という 大きな課題を掲げている.活動理念に掲げた 「1人1人が主人公」とは,まさに人間として の尊厳を中心に据え,実践を通して競争優先 ではない社会の実現を見出すのである.

  自立支援法の改善運動は私たちの第一歩に 過ぎない.暴走し,綻びを見せつつある「構 造改革」に対峙するやどかりの里の実践を展 開していくためにも活動ビジョンを構築し, 共有していくことが,今まさに求められてい る.今年度7月19,20,21 日に開催予定の「第 8回やどかりの里・人づくりセミナー」がや どかりの里の将来を切り開くための語り合い, 響き合い,創り合う場となっていく.

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