-TOPICS-

機関紙「やどかり」5月号
(2007.05.15発行)


<1面 記事>

障害のある人の権利条約採択の意味
学習することから始めよう

 
 2006年12月13日,第61回国連総会において障害のある人の権利条約が採択された.今後,各国で批准の手続きに入っていく.本紙でも何度か取り上げたが,今回は,条約が国連で採択された意味について考えたい.

 この条約が重要なのは,その位置づけにある.批准されれば,国際条約は憲法と一般法の中間に位置する.一般法にも影響を与えるのだ.従って,批准した条約とかけ離れた法律は改正が,未整備な法律は制定が求められる.この間,障害者自立支援法(以下,法)の改善に向けた運動を展開してきたやどかりの里にとっては朗報である.署名活動など,当事者の声を届ける運動の一方で,条約の批准を通して法の改善を図る可能性も開けたのである.また,条約の批准にあわせて,新たに差別禁止法等の制定も求められよう.

 条約の中身であるが,紙面の都合もあり,ここではかいつまんでお伝えする.条約は「障害のある人のすべての人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有」を目的としている.
 条約採択までの議論のなかでも「障害」ならびに「差別」の定義をどうするか,各国で見解が分かれ大きい論点の1つとなった.「障害」の考え方については,前文と目的条項(1条)に織り込まれ,種々の障壁との相互作用による障害も含むことになった.また,「差別」に関しては,「合理的配慮の否定」も「差別」に含むとされた.「合理的配慮」とは差別を除去していく実質的な手段で,そうした手段を講じない場合も「差別」に含まれるのである.いずれも,障害のある人ではなく障害のある人をとり囲む環境に着目した点は大きい.このことで,今まで日本国内で「差別」と認識されてこなかったことが「差別」となる可能性も出てきたのである.障害のある人にとって,主張できる権利が広がったと言えよう.権利を行使していくにも,まずは条約について当事者である私たちが学習して知っておく必要がある.

 来る6月30日には,条約のための国連特別委員会に政府代表顧問として参加されてこられた東俊裕さん(DPI日本会議常任委員)をお招きしての学習会が,やどかり研究所主催で開催される予定である.多くの方の参加を期待したい.こうした学習を積み重ねて,条約についての理解を深め,私たちの権利を拓く手燭としていこうではないか.


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