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<1面 記事>
やどかりの里が築いてきた価値を地域住民とともに
〜エンジュのお弁当利用者状態調査から見えてきたこと〜
やどかりの里授産施設「食事サービスセンターエンジュ」とやどかり研究所が,研究所顧問鈴木文熹氏の協力を得て,エンジュのお弁当利用者の状態調査を行った.
調査は,2月21・22日に実施.調査団10名が5チームに分かれ,弁当(昼食)を利用している20名のお宅に伺い,これまでの暮らしや労働,今の暮らしの状態,食事について等1時間半にわたりじっくりとお話を聴いた.これらをまとめる作業を通して,人々が社会のありように影響を受けながら生き抜いて来たこと,障害や疾病を抱えた人々の暮らしは予想以上に厳しい状況に置かれていることが浮き彫りになった.その中で,エンジュの弁当は暮らしの支えとなり,また,弁当に対して様々な思いや要望があることがわかった.
これらから調査団は,障害や疾病を持ってもあたりまえに暮らせる地域づくりへの課題を自分ごととして考え,重く受けとめた.一方,食事を提供する意味と責任の重さを改めて認識し,健康を支える仕事をもっと展開したいという思いを抱いた.また,エンジュで働く人々ややどかりの里の活動にも関心を持たれていることもわかり,エンジュが思考錯誤を重ねながら弁当を作ってきた思いが利用者に伝わり始めていることを実感した.障害者・高齢者という立場を越え,地域で支え合う新しい形が生まれつつある,という感想を持った.
そして,調査を通して検討する必要のあることとして次のようにまとめられた.
1.できる限り早く検討する必要のあること
エンジュのことだけではなく,やどかりの里の活動を,弁当の利用者を中心に伝えていくこと.
(1)今回のエンジュのお弁当利用者の状態調査で明らかになったような,エンジュが今まで利用者と一緒に蓄積してきたことを,やどかりの里全体で共有できるようにすること.
(2)エンジュと地域との関係を,他の障害者施設の関係者に提示していくこと.
2.長期的な視点で検討する必要のあること
高齢者や障害者を抱えた家族が,一週間のうち,もっとも大変になる土曜,日曜にデイサービスをはじめ,多くのサービスの提供者が休みになってしまう.こうした状況を打開していくために,やどかりの里として,食のサービスのあり方を検討していくこと.
エンジュは,地域の食事サービスの担い手となることを目指して出発した.それが,7年を経て,弁当を食べる人と作る人という立場性を越え,支え合う関係が生まれ始めている.それは,やどかりの里が精神障害を持つ人のありのままの姿を認めて暮らしを支えていくことを通じて見出してきた協働のあり方を,地域住民と築き始めた,ともいえるのではないか.また,福祉施設のありようが問われている今,エンジュの活動は障害者施設と地域住民の新たな関係を示唆するのではないか.まずは,調査から見えてきたことをやどかりの里全体で共有し,検討をすすめていきたい.
<2面 記事>
競争社会の中で地域で支え合う活動を展開していくこととは
〜エンジュのお弁当利用者状態調査報告集会から〜
去る4月17日(土),やどかりの里会館2階ホールにて,やどかりの里授産施設「食事サービスセンターエンジュ」のお弁当利用者状態調査報告集会が開催された.
当日は,さいたま市社会福祉協議会,地区社協,生活介護ネットワーク,全国老人給食協力会ふきのとう,配食サービスひまわり,そめや共同作業所,デイケアさんごといった,高齢者の地域での暮らしを支えたり食事サービスを担う団体や障害者福祉施設の方々等,外部の参加も含め総勢71名の集会となった.
まず,土橋理事長が開会のあいさつを行い,その後,今回の調査の経緯が報告された.調査は「エンジュの弁当が利用している方々にとってどのように有効であるのか確かめたい」という思いから出発した.
調査の内容は,鈴木文熹氏より報告された.
調査にご協力頂いた方は,60〜90歳代の方.戦中・戦後の混乱の影響を強く受けた方も少なくなかった.何らかの疾病や障害によりエンジュの弁当を利用することになり,活用の仕方は様々であった.毎日の食事は,弁当や市の食事サービス,ヘルパーや家族の力を借りたり,自分で用意するなどして確保.弁当については,軟らかく煮直したり,おかずを見て目で確かめてからミキサーにかけて食べるなど食べ方も一様ではなかった.さらに,美味しい,薄味であまり美味しくない,一生懸命作っているということが伝わる,配布物から障害を持つ人が働いていることを知った,やどかりの里の活動をもっと知りたい等様々な思いを抱きながら利用頂いていることがわかった.そして,20名のうち6名の方が土・日もやって欲しい,3名の方が夕食も個別宅配して欲しい,という要望をあげていた.
続いて,調査に参加した調査団が強く印象に残ったこと,そして,今後検討する必要のある課題について報告した.また,調査にご協力頂いた利用者のお一人から,調査の感想を寄せて頂いていたので代読した.
その後,会場の参加者から調査の報告を聞いての感想や意見を頂いた.
「利用者の方々がここまで本音を語ってくれたのは,日頃からの,エンジュとの関係の積み重ねが背景にあるからこそではないか」
「エンジュと利用者との関係は,エンジュだけで築けたわけではなく,やどかりの里が精神障害者の地域での暮らしを支え,ともに築いてきた歴史がベースにあるのではないか.やどかりの里の価値の現れのように思う」
「住民同士の支え合いの姿を見た.地域で求められる新しいありようではないか」
「自分はエンジュに魚を卸している業者だが,企業間の競争は激しく非常に厳しい状況を肌で感じている.できることの限界もあるが,真心と信頼で打破したい」
この日,調査から見えて来たことを,関係者と共感しあえたように思った.同じ願いを持ち地域で活動する方々の顔が見え,今後に向けて心強い思いがした.
(香野恵美子)
平成15年度第6回定例理事会報告
開催日:平成16年3月26日(金)
出席者:土橋敏孝,増田一世,浅見典子,三石麻友美,香野英勇,辰村泰治,吉江まさみ,山崎光夫
委任状提出:柳義子
第1号議案:処務規程承認
前回理事会で承認持ち越しとなっていた処務規程が承認された.決裁権限の明確化と副施設長職の規程が主たる内容である.
第2号議案:平成16年度事業計画案審議
本年度やどかりの里の主となる活動の柱が検討され,議論の結果事業計画案は承認された.
第3号議案:平成16年度予算案審議
各部署が提出した予算に基づき集計されたやどかりの里の総予算案384,523千円が審議された後,承認された.なお,共同募金受配事業の自己負担分は特別会計から捻出すること,エンジュは売上の増加を見越していること等が報告された.
その他事項
法人職員通勤手当の改定について承認.増田常務理事が埼玉県社会就労センターの副会長に就任の件承諾.副施設長人事承認.理事改選について確認.
次回理事会
5月15日(土)午後2時から
やどかりの里本館事務所
(浅見 典子)
第三木曜会の報告
やどかりの里の内外の動きを確認
4月15日,平成16年度に入って最初の第3木曜会が開かれた.議題は以下の通り.
1.「精神障害者の地域生活支援のあり方に関する検討会」の報告
昨年の9月以降,厚生労働省が主催となり,「精神病症等に関する検討会」「精神障害者の生活支援の在り方に関する検討会」など,3つの検討会が開かれている.やどかりの里からは,「精神障害者の生活支援の在り方に関する検討会」の委員としてメンバーの香野英勇氏が,その他に傍聴者として,メンバーやスタッフが参加している.この検討会では,今後の精神保健福祉政策のあり方に関しての検討が進められており,具体的には,「退院後等における地域生活を継続する体制づくり」や「新たな体制を支える基盤について」を中心に議論がなされてきた.
第3木曜会では,第7回検討会で「中間報告」が出され,その報告がなされた.「現状を総括するためのデータも揃っていない中では,今後のあり方は示せないのではないか」等,委員からも検討会のあり方を疑問視する意見が出され,障害者福祉施策のむしろ縮小を危惧させるような内容も見うけられるようだ.
報告を受け,精神保健福祉に関する制度を後退させない努力をすべく,皆で考えていくことが必要である,という確認がなされた.
2.さいたま市の最近の動きについて
(1) 「さいたま市障害者施策推進協議会」は,さいたま市障害者計画の進行管理や中間見直し等を目的とした会である.また,2つのワーキンググループが活動し,障害者計画の現状と課題の整理や市内の相互支援システムの構築について検討を進めている.今年度は合計9回の開催を予定し,総合支援の実際についての共通認識を持つためのヒアリング等も実施し,市内の現状をつかんでいくとのこと.
(2) また,市内で活動する障害者団体間が「さいたま市障害者施設連絡会」としてまとまる動きがある.この会は,さいたま市内にある障害者団体が,互いの活動や障害について相互に理解し,市に対して団結して要請行動を起こしていくことを主な目的としている.
(3) さいたま市役所から始まった市内障害者施設の授産製品販売が,今年度から大宮区役所,中央区役所でも開始が決まっており,広がりを見せていることも報告された.
3.法人の年間計画(確認・検討)
法人の年間計画について話し合われた.予定されている行事は以下の通り.
5/29 総会
7/15 里祭&ビアパーティー
7/17〜19 人づくりセミナー
10/10 バザー
11/4〜6 法人会員親睦旅行
12/29〜1/3 年末年始
1/4 新年顔合わせ会
2/19〜20 地域精神保健・福祉研究会
その他,「キャンプを復活させたい」という案も出され、職員の鈴木恵が呼びかけ人となり,声をかけていく.
4.農業体験サークルについて
やどかりの里から程近い場所に,県が管理している見沼たんぼがある.そこで,子どもたちへの農業体験の提供と田畑の管理をしている「みぬまファーム21」というボランティアグループとの出会いがあり,一緒に畑仕事を体験するサークルを作りたいと提案があった.希望者は職員の白石まで.
(文責 長谷川健一)
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