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「社団法人やどかりの里」の歴史とその意味
4月17日,今年度第1回目の第3木曜会(やどかりの里の全体集会)では,年度の始まりにあたり,やどかりの里が社団法人として活動してきた歴史とそのことの意味を考えようということで話し合った.
やどかりの里は1970(昭和45)年8月に,病状が安定していても,引き取る家族がいないため退院できない方々の為に住居を用意することから始まった.そして,1973(昭和48)年4月には社団法人を申請し,5月に認可されている.
法人の申請に際し,やどかりの里の活動の性格が問われ,「医療とは別枠の精神障害者に対する福祉的な活動である」と決定されている.現在であれば,当然社会福祉法人の取得が検討されるが,当時の社会福祉事業法には精神障害者の福祉事業は位
置づけられていなかった.
さらに,財産がなくても取得できる法人格は「社団法人」だったのである.
そして,公的な補助金のない中で運営を続けるやどかりの里は常に財政基盤が脆弱で,存続をめぐる問題があった.このままだとやどかりの里は後2年しか存続できないという見通
しが示された時に,メンバーから「自分たちも会員になって,やどかりの里を支えよう」という声が上がった.誰かに支えてもらう活動ではなく,私たちも支え手の1人なのだという活動への転換が,この時期に意識され,会員によって運営される「社団法人やどかりの里」を形成していった.
その後,1990(平成2)年の社会復帰施設開設に先立ち,社会福祉法人を取得する必要性が検討されたが,社会福祉法人を取得したとしても,「社団法人やどかりの里」を残すべきだという議論があった.これは,施設の利用者になるのではなく,自分たちの手で必要な活動を担っていくのだという精神を持ち続けることの必要性を意識したものであった.
結局は,精神保健法に社会復帰施設が位置づけられた際,運営主体に社会福祉法人だけではなく,その他の公益法人が加わり,社団法人で施設運営が可能となったため,福祉法人格は取得しなかった.社団法人で施設が運営できることに安堵したが,実際には精神障害者に対する福祉施策と他の障害者施策との格差が埋まっていかない,大きな要因となっていることを忘れてはならないのである.
2001(平成12)年には,補助金事業の規模が拡大したため,社会福祉法人格の取得の是非を検討したが,社団法人では,最高決定機関が会員による総会にあり,民主的な運営ができることを大切にしたいということで,社団法人での運営を選んだ.
いつも助けられるのではなく,支えることのできる存在であることへの気づき,対話と共感に基づく活動づくり,関わる1人1人が主体的に取り組む活動づくり,こうした人と人とが響き合い,織り成す活動が「社団法人やどかりの里」のいのちであり,エネルギーなのである.
私たちにとって空気のような存在,それが「社団法人やどかりの里」であるが,この存在の重みを,時に自覚することが大切である.
平成14年度
第5回定例理事会報告
開催日時 :平成15年3月28日(木)午後3時から4時
場 所 :やどかりの里本館2階事務所
出席理事 :土橋敏孝,孤嶋圭子,増田一世,浅見典子,山崎光夫,柳義子,島田喜代子,辰村泰治,香野英勇,吉江まさみ
委任状提出:粕谷慶治,三石麻友美
議 題
(1)平成15年度事業計画
機関紙に記載する今年度の活動方針と組織図の確認を行った.他にまごころの小規模授産の立ち上げ準備と,新規プロジェクトの説明がなされた
(2)平成15年度予算案説明
社会復帰施設の補助金事業がさいたま市に移管されることから,補助金交付の遅れが懸念される市に鉈医sて早期の交付を要望する.
(3)その他
施設運営の要綱に縛られない資金の獲得を目指し,今年度コンサートとバザーを開催する.収益は理事会の中に配分決定機関を設け,資金が必要な部署から上がった希望をかなえるようにしたい.
次回理事会は5月9日(金)午後3時から
第三木曜会報告
社団法人の意義とは
〜会員の,会員による,会員のための活動を〜
4月17日(木)の第3木曜会は,やどかりの里が社団法人として活動する意味とは何か,法人会員としてどのような役割があるのか等を話し合い,再確認する場となった.
はじめに,やどかりの里がどうして社団法人を選び,その転換期となったのは何か,歴史的事実を共有した.
当時の職員第1号である荒田さんが,行政に対し助成金確保の目的で法人格取得を提案し,1973年5月に社団法人として認可された.
「なぜ社団法人だったのか」という問いに,「メンバーと職員の対等性」,「社団法人のほうが自由が利く」等の様々な意見が出た.理由としては@ 「社団法人の方が支度金が安く,とりやすかった」,A 「当時の社会福祉事業法の中では精神障害者の福祉は位
置づけがなされていなかった.よって社会福祉法人を取得できず社団か財団で法人格を取得するしかなかった」ということが常務理事の増田から説明がなされた.
1975年の財政危機の時に,当時の爽風会メンバーが,やどかりの里を必要だと感じ,バザーや署名活動を行っている.それまでの法人会員は谷中会長の知り合いや,地域の人たちであったが,これからはメンバーも活動を支える一員として会員になろうと言う声があがった.「この時の精神が今のやどかりの里の原点につながっているように感じる」という声に,自分たちが活動を担う一員であることを再確認した
.
1987年に精神衛生法から精神保健法への改正があり,社会復帰施設が法律で認可された.1990年の社会復帰施設建設時に,社会福祉法人を新たにつくるべきか.何度も話し合いが行なわれた.「先を見越しての話で職員主導の話し合いだった.調子を崩すメンバーがいたり,家族も動揺した」という当時の思いが関わった人から語られ,当時の混乱した様子が伝わってきた.
社団法人が存続したのには,志村のおばさんの「社団法人は誰かにやってもらう活動ではない.自分たちで作っていく活動.みんなで積み上げる組織を作りたい」という強い思いと,社会復帰施設が社会福祉事業法に第2種社会福祉事業として位
置づけられ,公益法人でも運営できることからであった.昨年開かれた「理事会のあり方を考える会」の中でも,社会福祉法人は理事会の力が強く,組織がトップダウンになる危惧がある.やどかりの里の活動はボトムアップの形を大切にしたい,社団法人である意味は大きいと確認された.
次に法人会費はどのように使われているのかについて総務から話があった.運営主体である社団法人には補助金の交付はない.そのため,会館と別
館の土地と建物に残っている借入金は法人資金で返済していかなければならない.
その他にも@ 施設運営の赤字の補填,A 法人運営費用,B 会員交流事業などに使われているということだった.自分たちで支払っている会費がどのように使われているのか知らなかったという人も多く,改めて自分たちが法人を運営する一員であることが確認できた.
最後に,「自分たちが一丸となってやれることをみていかないといけない.意識していくことが大切」「新規利用の人に法人会員の意味を伝えきれないでいた.納得せずに支払っていた人もいたのではないか.今後は,きちんと伝えていきたい」「法人の話は普段から話していない.機会をつくって伝えていくことが大切なのでは?」など,意見が出された.私自身,法人全体を意識した活動をしていきたいと実感した話し合いであった.
(玉手 佳苗)
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