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機関紙「やどかり」4月号 (2008.04.15発行)

2008年度 やどかりの里 活動方針(案)

つながること・創り合うこと
やどかりの里40周年に向けて,ビジョンづくり・2

 私たち1人1人の暮らしが足元から揺らいでいるという思いを多くの人たちが抱いている.このままでよいのだろうかという問題提起の声が各地から,各領域から上がり始めている.骨太方針に掲げられた生活扶助の見直しも急ピッチで進み,2008年度には医療構造改革も本格化していく.また,原油や食料品など生活必需品の価格が高騰し,日々の暮らしへの影響も大きい.同時に,リハビリ難民,介護難民,医療難民といった状況が顕在化し,私たちの暮らしや健康を守るために何ができるのか問われている.
  障害分野に目を転ずれば,障害関係者の運動のうねりの中で,障害者自立支援法(以下,自立支援法)は与党・野党からも問題の大きさが指摘されている.2007年の特別対策に続き,与党プロジェクトチームの報告書が出され,厚生労働省は2008年からの緊急措置を発表するなど,すでに自立支援法の原形をとどめないような状況となっている.今年度は自立支援法がスタートし3年目となり,法の見直しに向けて重要な1年となる.

1.やどかりの里を取り巻く状況

1)全国的な動向
  働く場に応益負担がかかる自立支援法について,全国福祉保育労働組合が日本障害者協議会やきょうされんと協力し,ILO(国際労働機関)に提訴した.国際の場で自立支援法の問題が議論されることになる.
  障害のある人の権利に関する条約についても,政府仮訳が発表され,国内法との整合性を議論することになるが,各地で障害のある人への権利に関する条約への関心を高め,政府に対しての問題提起や提言を進めていくことが求められている.
  医療制度改革は,精神科医療のあり方にも大きな影響を与えていく.

2)さいたま市の動向
  第2期障害者計画,障害福祉計画の策定がスタートしていきます.計画策定にあたって,障害者福祉に関するアンケートが実施された.このアンケート結果をもとにさいたま市の計画立案に向けた取り組みが進んでいく.
  さいたま市は地域活動支援センターに関する運営要綱を発表したが,精神障害者小規模作業所,心身障害者地域デイケア施設(身障・知的の作業所)は,示された内容には問題点が多いと考えており,さいたま市障がい者施設連絡会などで問題提起・提言を行っていく準備をしている.
  今年度よりさいたま市の10区に3障害の障害者生活支援センターが整うことになる.自立支援法の下では障害のある人や家族にとって身近なところで相談を受けられることが重要になるが,さいたま市障害福祉課,各区の支援課や保健センターと連携しながら,一次相談の質や障害のある人のケアマネジメントの力量を高めていくことが求められている.

2.2008年度活動方針

1)つながりを重層に
  自立支援法の3年後の見直しに向けて重要な年となるが,介護保険等の統合問題の行方などに注目しながら,全国の関係者,県内・市内の関係者と手を結びながら,市民への理解を広げた運動を展開していく.
  ニーズは常に変化するものであり,新たなニーズも生まれる.そうしたニーズに対して,関係機関との連携の中で新たな支援を生み出していく.

2)新事業の充実
  2007年度に事業を立ち上げた居宅介護事業「ホームヘルプとも」,労働支援プロジェクトなどの新しい事業は,ニーズを把握しながら,法人内の他の部署とも連携しながら,市内の人たちにとって必要な事業となるように態勢を整えつつ,事業を進める.また,2級ヘルパー養成講座を開催し,働き手の養成と障害のある人の職域の拡大を目指す.

3)創立40周年に向けたビジョンの構築
  2009年8月に40周年を迎えるが,「やどかりの里・人づくりセミナー」を開催し,他領域の動向なども踏まえ,共感にもとづく対話,主体的な学習を重ねる中で,やどかりの里のビジョンを描き出す.
  また,自立支援法に基づく新事業体系への移行計画を検討する.

3.やどかりの里の5つの課題と今年度の活動

1)学習を進めていく課題
情勢の変化が大きい中で,現象に踊らされることなく,本質を読み解く学習が欠かせない.国際的な視野で学びつつ,互いに学び合うことを大切にしていく.

2)精神医療に関する課題
もっとも重篤な人が,地域で暮らしていくために医療と地域の福祉的な活動がどのように連携していったらよいのか.自ら医療や福祉の支援を求めない人に対して,どのようなチームで積極的に関わっていったらよいのか,医療や保健関係者や関係機関とともに検討し,取り組みを進める.

3)働く場を広げていく課題
各作業所や授産施設,福祉工場の状況を明らかにし,働く人たちのニーズを把握しながら,事業移行の問題に取り組む.また,工賃の水準を高めていくこと,企業などで働きたいと希望する人たちの思いを実現していくこと,市内のネットワークを構築する中で共同の仕事おこしを実現していくことなど,課題も大きい反面,可能性も秘めている.これまでの取り組みを財産にしながら,もう一歩前進させていく.

4)財政基盤を拡充していく課題
やどかりの里のさまざまな事業は,法人の利益に資するものではなく,公共的な性格を強く持ったものである.それらの事業を多くの市民や住民の生活の質の向上に反映させていくためには,公的な資金が導入される必要がある.国や地方自治体に強く訴えかけていくことと同時に,法人が一体となって,多くの支援者に働きかけ,法人の各事業が存続し,拡充していくための資金獲得を進める.

5)やどかりの里の活動の価値の普遍化の課題
障害のある人のさまざまな課題は,少数者の問題であると見られがちである.しかし,障害のある人の生きる姿の中から多くの人たちが学ぶことがある.また,互いに支え合う,学び合う,創り合うといった,やどかりの里がこれまで構築してきた財産を社会に発信していく.
また,障害のある人の実際について理解を広げるために,きょうされん30周年記念映画「ふるさとをください」の上映運動を市内の関係者,やどかりの里の後援会などと協力しながら進める.

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