-TOPICS-

機関紙「やどかり」4月号
(2007.04.15発行)


<1面 記事>

2007年度 やどかりの里活動方針
運動と創造を両輪で進める
 やどかりの里40周年に向けた,ビジョンづくり

 
 2007年度のやどかりの里の活動方針を述べる前にやどかりの里を取り巻く状況について確認しておきましょう.

1.やどかりの里を取り巻く状況

1)全国的な動向

 「貧困」や「ワーキングプア」などが社会問題化する一方で,生活保護法の見直しなど,社会保障全般の後退が進んでいます.同時に「自己責任」「成果主義」「効率優先」といった考え方が広がる中で,障害者福祉の世界にも市場化の波が押し寄せてきています.
 2005年10月に拙速に成立した障害者自立支援法(以下,自立支援法)が,2006年10月には本格施行となりました.全国各地で障害のある人への自立支援法による影響も大きくなっており,障害者施設も減収となり,職員が働く環境も厳しくなりました.自立支援法への問題提起の声が,2006年10月31日に開かれた日比谷公会堂や野外音楽堂を中心に15,000人が集まる「出直してよ!障害者自立支援法」大フォーラムにつながりました.こうした障害のある人たちや関係者の運動が大きな力となり,本格施行から2か月余りで国による特別対策が発表されました.障害者運動が確実に国の施策に影響を及ぼしています.
 
2)さいたま市の動向

 障害のある人への支援は,市町村が中心になって進められることになりました.さいたま市では,2007年4月に障害者総合支援センターが開所し,新たにさいたま市が就労支援の事業を始めます.また,障害のある人への相談支援事業も各区での支援内容の充実を目指した大切な時期を迎えています.
 さいたま市保健所の実施する退院支援事業も2年目を迎え,援護寮を足がかりに退院するなど,生活支援センターや援護寮の役割がこれまで以上に大切になってきています.
 障害者自立支援協議会も新たに立ち上がり,相談支援事業から見えてきた障害のある人たちの潜在的なニーズを捕捉し,必要な制度や支援を新たに作り出していくための取組みが始まります.

2.2007年度活動方針

1)運動を力に

 変化の大きい障害者施策の動向を読み取りながら,自立支援法の改善に向けた取り組みを進めていきます.市内・県内・全国の関係者と力を合わせた幅広い運動に取り組み,メンバー,家族,職員,法人役員など関係者が力をつけていきます.

2)新事業立ち上げの準備

 昨年度立ち上げた障害者自立支援法対策本部の取組みで,必要性が見えてきた労働支援,居宅介護事業,回復や親からの自立を考える活動などがあります.地域にある潜在的なニーズを捕捉する努力を行いつつ,新事業の立ち上げに向けて準備を進めます.

3)創立40周年に向けて,ビジョンの構築

 やどかりの里は2009年8月に40周年を迎えます.障害者自立支援法対策本部を発展的に解消し,やどかりの里ビジョン検討委員会を立ち上げます.メンバー・家族・職員・法人役員など関係者が参加し,活動理念を明確化し,やどかりの里の使命の再確認をします.そして,やどかりの里全体を見定め,やどかりの里に対するニーズを把握し,具体的な取組みの方向性を描き出し,行動計画を立てていきます.その中で新事業への移行時期,移行後の活動のあり方も具体的に検討していきます.しかし,自立支援法への対応を考えるだけでは,やどかりの里の未来は切り拓けません.地域のニーズや事業起こしの発想を豊かにしながら,新たな創造に向けて準備を始めます.

3.やどかりの里の5つの課題と今年度の活動

1) 学習を進めていく課題
 社会の情勢を読み取る努力とその共有化のための学習,自立支援法の改善に向けた取組みのための学習,障害者の権利条約について学び,実際の活動に生かすための学習などを行います.

2) 精神医療に関する課題
 長期入院の人たちの退院支援を進める中で,医療機関,保健所などの公的機関,市内の生活支援センターとの連携を深め,精神科医療を開かれたものとしていきます.また,やどかりの里のメンバーへの支援から見えてきた精神科医療の問題を医療関係者と共有し,問題の解決に向けて取り組みます(精神障害のある人たちの権利意識の醸成も含めて).

3) 働く場を広げていく課題
 やどかりの里の働く場が,まだ利用できていない人たちにとっても開かれた場所となっていくように,市内の関係機関などへの周知を図っていきます.また,各事業所では新たに働く人を受け入れられるような態勢を整えていきます.さらに,労働支援の視点で,障害のある人たちの働くための準備性を高め,自分の体力や回復に合わせた働き方を見つけ出す支援,そのために必要な労働行政などとの新たな連携を進めます.
 地域の人たちのニーズを掴む努力を重ねつつ,地域の中で必要とされる新たな仕事おこしについて検討します.

4) 財政基盤を拡充していく課題
 公的な補助金が減少する方向性の中で,公的責任性を問いながら,補助金減額に対して問題提起を続けます.
 現状の支援態勢の中で,不足している支援を新たな事業として進めることで,財政基盤の確立を目指します.

5) やどかりの里の活動の価値の普遍化の課題
 コンサートやバザーの取組みを通して,やどかりの里の問題意識を伝え,市民との協力の輪を広げていきます.やどかりの里の考え方,取組み,大切にしているものなど,つねに情報発信を継続します.同時にさいたま市,埼玉県,全国各地でのさまざまな取組みから学び,相互に学び合う関係を構築していきます.そして,やどかりの里の活動を検証しつつ,活動を前進させていきます.


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