-TOPICS-

機関紙「やどかり」2月号
(2008.2.15発行)


<1面 記事>

初代理事長岩本正次先生ご逝去にあたり
やどかりの里の存在の確認

 2008年1月22日,やどかりの里の初代理事長である岩本正次先生がご逝去されました.
昨年末に体調を崩して入院され,お亡くなりになる直前まで意識もしっかりしており,看護師さんたちにソーシャルワークを講義されたり,ご家族やご友人のお見舞いに冗談を交えてお話しされていたとのことです.
  入院する直前まで本紙に目を通してくださっており,やどかりの里のことを気にかけてくださっていたそうです.入院中も「やどかりの里に行かなければ……」とお話されていたと伺いました.
  岩本先生の傍らにはいつも折り紙と計算機がありました.やどかりの里にいらっしゃる時にもあっという間に折りヅルを作られて,「はいっ」とプレゼントされた人もたくさんいるはずです.

  1972年に社団法人やどかりの里が認可され,岩本先生が理事長に就任され4期8年を務められました.1976年に出版された「『精神障害者』の社会復帰への実践―やどかりの里の試み」(存続が危ぶまれていたやどかりの里の5年の歩みを記録化した本)に,岩本先生の「やどかりの里の存在の確認」という原稿があります.改めて読み返してみると,やどかりの里が現在まで大切にしていることが記されています.1.仲間の中で仲間作りを自分達がやるんだということ,2.仲間作りを進めるに際して,周りと関わりながら進める,3.みんなの心が通い合える程度の,心を知りつくせる程度の小さな集団であること,4.暮らしの中でお互いに学んでいくこと,5.仲間が一生懸命に頑張っている姿をみて,自分も甘えないでやっていけるんだと実感で知ること,6.精神病を病気として見ない視点ー病気を治すことではなく暮らしを整えていくことで病気といわれてきたものは治っていく,7.自分が魂をもって周りと関わりながら,前向きに生きていること,の7つをあげていらっしゃいます.

  心が通い合える小さな集団が大切だが,集団は孤立するのではなく,周りと関わりながら進めること,地域で活動することが大切なのだと伝えてくださっています.人と人との心が通い合えるようなつながり,そのつながりを地域の中に広げていくことの大切さを岩本先生は伝えています.

  現在のやどかりの里の活動は,先達のさまざまな努力や労苦の中で引き継がれてきました.岩本先生の「精神病は本当に病気なのだろうか」という根源的な問いかけに,やどかりの里は実践を重ねる中でその問いかけに答えていく必要があるのだと思います.いつもやどかりの里のことを気遣い,心を砕いてくださっていた岩本先生に改めて感謝の気持ちをお伝えしたいと思います.ありがとうございました.


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