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当事者の生活を脅かす制度改変
〜精神障害者通院医療費公費負担制度の改変案を受けて〜
本紙でも取り上げてきたように,今,障害福祉の分野で大きな制度改変が行われようとしている.改変の内容は,昨年10月に厚生労働省から示された今後の障害保健福祉施策(改革のグランドデザイン案)を契機に少しずつ明らかになりつつあるが,具体的な中身は十分伝わってはきていない.今回は,現在示されている範囲で見えてきた,精神障害者通院医療費公費負担制度の改変について取り上げる.
そもそも精神障害者通院医療費公費負担制度は,精神保健福祉法第32条(以下,32条)に規定されている.条文では「都道府県は,精神障害の適正な医療を普及するため,(中略)病院または診療所へ入院しないで行われる精神障害の医療を受ける場合において,その医療に必要な費用の百分の九十五に相当する額を負担することができる」となっている.この制度は,在宅精神障害者の医療の確保を容易にするために,昭和40年の精神衛生法改正で創設されたものであり,通院医療を積極的に進めていくことを支えるものと位置づけられている.
精神障害は慢性疾患であり,やどかりの里のメンバーもほとんどの人が32条を活用しながら,多い人では週に1回の通院を継続し,地域での暮らしを維持している.32条を活用することで負担に苦しむことなく継続した精神医療が受けられ,地域での暮らしが支えられているのである.
昨年末に開かれた第22回,第23回社会保障審議会障害者部会で示された見直し案では,平成17年度の精神保健福祉法の改正にあわせて,この32条がなくなり,他の障害とともに「障害者自立支援給付法(仮称)」に統一され,自立支援医療費として位置づけられる.これにあわせて利用者負担も見直される.公費負担制度を活用する人が増え,財政的に極めて厳しい状況であるため,公費負担制度が受けられる人の範囲が,大幅に狭められるのだ.所得税額が30万円以上の世帯は,自立支援医療費の給付対象から外される.この場合は医療保険のみで,3割の自己負担になる.従来の6倍の負担である.生活保護世帯や市町村民税非課税世帯は継続的に給付対象となるが,所得税額30万円未満の中間層とされる世帯に関しては,障害が重度かつ継続的な場合のみ継続的な給付対象とされる.しかも,給付の割合がこれまでの100分の95から100分の90に縮小される.(所得に応じて月額の負担上限を設定する措置は取られる)
このように見ると,家族と同居している当事者の医療費負担に直接影響が出てくると考えられる.また,扶養義務者負担は廃止と謳いながら,世帯単位で給付対象を決める矛盾など問題も多い.新しい制度の全容が明らかにはなっていないが,現状で見る限り,安心して精神医療を受け続けられる基盤が揺らごうとしているのである.当事者の地域生活を守るためにも,国の動きを見極め,全国の仲間と運動に取り組むことが求められている.
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