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社会復帰施設運営費減額の通知を受けて
昨今の情勢から見える福祉の危機
1月9日,新年への期待も吹き飛ばすような通知がさいたま市から法人に届いた.平成15年度分の社会復帰施設補助金が,既に決定され事業が進んでいるのにも関わらず,大幅な減額になるという.削減額は授産施設が73.5万円,生活訓練施設92.3万円,福祉工場78.6万円,総額244.4万円にのぼる.市からの文書では,「国からの単価改定通知により」とのこと.精神障害者社会復帰施設の補助金は,ここ数年,単価改定により減額が続いている.この不況下,人事院勧告の反映,という国の弁も予想されるが,それだけとは言い難い,昨今の情勢がある.
昨年12月,平成16年度政府予算案が内示された.それによると,先の概算要求に比べ,障害者地域生活支援策は181億円,精神障害者保健福祉施策においては41億円の削減が示された.具体的にみると,例えば,小規模通所授産施設が1ヶ所あたり1,100万円から1,050万円に削減,小規模作業所への国庫補助金が今年度1割削減(110万円→99万円)された上,さらにもう1割削減され,1ケ所あたり88万円になる.今年度初めに起きた社会復帰施設施設整備費不採択問題については,未だ全面採択の見通しが立っていない.その上,このような予算立てで,退院可能な7万2千の精神障害者を地域に送り出すことを明言した,「新障害者プラン」をどうすすめていくのか.
一方で,障害者施策の根幹を揺るがす議論も始まった.1月,介護保険制度の全般的な見直しを討議する「介護制度改革本部」が厚生労働省に設置され,保険料の徴収対象を20歳以上に引き下げるとともに,精神保健福祉の分野も含む,障害保健福祉施策の介護保険への参入が検討課題にあがった.介護保険制度は,本人とサービス事業者とが契約し,サービスを選択できるしくみであるが,充分な資源が保障されないのが現状.その是非も様々で,まずは,現行の介護保険制度そのものの見直しと検討が必要ではなかろうか.
また,障害福祉施策に関しては,今年度,知的・身体障害者の分野において支援費制度が導入されたばかりである.措置から契約へ,利用者主体のサービスの提供を謳い文句に,一人一人にサービスを必要とする額が算定され,利用に応じて施設に支援費が支払われるしくみになった.以来,利用者負担は当然となり,施設では月々の膨大な事務量が増え,人件費獲得の算段をより一層迫られる状況となった.そして,ホームヘルプサービスでは,ヘルパー派遣時間の利用制限問題を巡り,関係団体と厚生労働省との間で幾度も緊急交渉が持たれている.こうした大混乱の中,精神保健福祉の分野も含めて一気に介護保険に参入させるという.この急激な動きに,支援費制度も介護保険統合化への単なる布石だったのかとさえ思えてくる.
いずれにせよ,利用者主体と表に出しつつ結局は財源目的のしくみづくりに終始してはいないか.そもそも福祉は,国民が幸福に暮らす権利を保障し,国がその義務を負うものではなかったか.今,国は,目先の財源不足を理由に,公的責任を放棄し,本来の福祉のあり方を根本から覆そうとしている.
第三木曜会の報告
やどかりの里にとって必要な研修とは
1月15日(木)第3木曜会が開かれ,「今,やどかりの里にとって必要な研修とは何か」について話し合った.このテーマを話し合うにあたり,1997年から2002年までに過去5回開催した人づくりセミナーを振り返った.
やどかりの里の活動が拡がりメンバーやスタッフも増え,古くから培ってきた活動の理念や思いの共有が,日常の活動の中では難しくなり,一部の職員の間では危惧されていた.その頃,当時信州大学で公衆衛生学を専門とされていた丸地信弘氏が研修への協力を申し出てくださったことがきっかけとなり,人づくりセミナーは始まった.第1回から第3回までは職員研修として行われていたが,第4回にはメンバーが素材を提供し,研修にも参加するようになった.過去5回のセミナーを通して,活動を展開していく上で大切な共通基盤を確認し,思いを共有できるようになってきたことが話された.
続いて,人づくりセミナーに参加した経験のある人からは,参加してどうだったかなどについて意見が出された.「皆で話し合いながら考えていくということの面白さを体感した」「トータルに物事を捉えること,共通基盤を確認することが大切だと思うようになった」「後になってから活きてくる研修.継続していくことが大切」「自分たちのやってきたことを文章にまとめ,人に伝えるための作業に取り組んだことは貴重な体験になった」「人づくりセミナーを始めてから,図を描いて全体像で捉えようとする機会が増えた」
これらの意見交換を通して,今後の研修について,業務や時間を止めて活動を振り返ることの大切さや,ただ聞くだけではなく参加者一人一人がその研修をつくりあげていく一員となるという参加型の研修が必要であること,また今後2年に1度くらいのペースで継続的に研修を行っていくことが確認された.具体的な内容については未定だが,今やどかりの里にとって必要な研修として,「ネットワーキング」と「人材養成」の2つのテーマが案として出された.今後については,チーフ職員だけでなく関心のある人を募り,実行委員会で企画していきたいというチーフ会議からの提案を受け,できるだけ早い時期に実行委員会を組織し,来年度の開催に向け準備を進めていくことになった.
その他,連絡や情報共有の時間をもった.一つはさいたま市からの精神障害者短期入所事業(以下,ショートステイ)委託についてである.ショートステイとは,精神障害者居宅生活支援事業の一つである.現在,さいたま市との協議を進めながら,この事業の委託を受けていく方向で準備を進めている.この事業が地域で暮らす精神障害者にとって,本当に利用しやすい事業となるよう,市内関係団体とも話し合いながら,必要に応じて市に働きかけていくということが報告された.
二つ目に,国の障害福祉の予算について,介護保険を財源に組んでいこうとする方向で検討が進められているということが報告された.また,精神障害者社会復帰施設の補助金も削減される動きがあり,福祉のおかれる状況が大きく変化しようとしている.(詳細は今号1ページ参照)自分たちの活動を考えていく上で,このような国の動きや社会の情勢を含め,広い視野を持ち学習していくことが大切であることが確認された.
(宗野 文)
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