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はじめに

 社団法人やどかりの里は,精神障害(主に慢性の統合失調症)をもつ人たちが,地域で安心して暮らしていくために必要な生活にかかわる支援活動を推進するとともに,出版や研修,研究事業を通 して,精神障害者の福祉の向上と地域における精神保健福祉の推進と普及を目的に設立された非営利の民間団体(公益法人)です。

 活動拠点は現在,埼玉県さいたま市にあります .
 
1970(昭和45)年に、精神障害をもつ人たちの住まいや職場を開拓することから活動が始まりました。公的な補助金事業のない中で、常に財政危機を抱えての20年間でした。
  現在では、補助金が交付されるようになり、さいたま市内に『住む場、働く場、憩いの場』を点在させ、精神障害をもつ人たちと、家族、職員、多くの地域の方々と共に、誰もが地域で安心して暮らせる社会を目指して活動を進めています。

 1990年に社会復帰施設*1)を建設,その後地域生活支援センター*2)を作り,地域に作業所*3),グループホーム*4)などを点在させています.
 現在300名ほどの精神障害者がやどかりの里の
3つの生活支援センターに登録し,グル ー プホームに入居したり,作業所に通ったり,家族と同居しながらやどかりの里に通 い, サークル活動*5)に参加するなど,さまざまな形で利用されています.1997年4月から やどかり情報館(精神障害者福祉工場がオープンし,23名の精神障害者が労働者として働いています.

 統合失調症は原因などが未だはっきりせず,思春期に発病する病気といわれ,進学,就職等の人生の転機に発病する人もおり,慢性的傾向をたどる場合があります.治りにくい病気あることに加え,社会的な偏見が強く,一旦病気に罹ると,就職や結婚などに大きな障害となることも多いのが現状です.日本では精神障害者への福祉的施策の遅れにより,精神病院に長期入院をせざるをえない人も多く,病気の治療を終わっていても,地域にかえる場がなく,入院を継続せざるをえないという社会的入院者が7万2千人いるといわれています.

 しかし,やどかりの里のような生活を支える活動があれば,多くの精神障害者が地域の中で自分らしく暮らせることは明らかです.また,統合失調症という病気を発病し,急性期の症状は押さえられたものの,疲れ易さ,統合力の弱さ,人間関係における過度の緊張といった生きづらさをもつ彼らの生きる姿から,現代の社会が抱える問題や歪みを教えられることも多いのです.

 

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 沿 革

 組織図 PDF

*1 通所授産施設と援護寮の複合施設である.通所授産施設では在宅の高齢者や障害者への食事サービス(昼食と夕食)を行っており,精神障害者と栄養士,調理員が働いている.援護寮は一般 的には2〜3年間居住する施設であるが,やどかりの里ではショートステイのシステムで援護寮を運用している.休息利用,親睦,危機を乗り越えるための利用など,様々である.

*2 地域で生活している精神障害者への支援を行うと同時に,必要な資源の開拓や調整を行う.現在3つの生活支援センターが開設されている.

*3 10〜15人ほどの利用者が集まり,自分なりのスタンスで働くことのできる場所で ある.働くことよりも社会参加や仲間を求めて集まってくる人もいて,憩いの場としての役割を果 たしている場合もある.やどかりの里には6か所の作業所があるが,それぞれの活動に特徴がある.喫茶店の営業,やどかりの里のメンバーへの食事サービス,それぞれの個性を活かした手作り品の制作などを行っているところなどさまざまである.

*4 1つのアパートの4〜5世帯をやどかりの里が契約し,住居の確保が難しい人に提供する.入居者の中でリーダーが決められ,入居者同士が支え合いながら暮らしている. 困ったことが起きたときには職員に連絡が入り,職員と共に問題解決をはかっている.

*5 社会復帰施設の中で趣味の会や楽しみの会,食事づくりやパソコンなどを学ぶ会が開かれている.また,仲間づくりや一人暮らし,働くことを目的としたグループ活動も行われている.

*6 一般就労を希望する精神障害者は多いが,長続きしない場合が多い.安心して働ける場所がほしいという声から雇用の場である福祉工場が生まれた.種目は出版,印刷,研究所の3部門がある.最低賃金など労働関係法基が適用され,用件を満たす人は社会保険,厚生年金,雇用保険に加入している.


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