今回の本に収録された3人は,三者三様それぞれ違った人生を送ってきている.しかし,それぞれの話を聞くと,根底に流れるものは同じであると感じる.それは辛い苦しい体験に屈することなく,自分の人生に前向きに取り組んでいく姿勢だ.仮に他人は彼等の体験を理解しようにも理解できないというときは,「大変な人生だったんですね,私には想像もつかない」,また「そんな体験をして今の皆さんがあるというのはすごいことだ」などと計り知れない現状までのプロセスをそう語るかもしれない.そして自分が想像ができないことで,目の前の発表者に尊敬の念を抱くかもしれない.仮にそうであっても,体験発表会で本当に伝えたいことは,その想像を絶する体験は,もしかしたら,その人自身にも訪れるかもしれない.またそうなったにせよ,そこから這い上がる力は,特別
な人だけ持ち合わせているのではないということだ.
最近では,話の内容が深刻であると「重い」と表現されて敬遠されがちだが,そこには人間らしい体験と物事の本質を掴む上で大切なヒントが隠されていると思う.そんな人間が生きる上での本質を探る1つのヒントが本書には書かれている.大切なヒント,人生の道標を素通
りしていれば,人生の目標や方向性に狂いがでてくる.そんな誰もが分かっていると思っている当たり前のことを,著者たちは繰り返して「大事だよ」と言っているように思う.
読者の皆さんも「私の人生って何」と問い直すいい機会になるのではと思う.多くの方々にこの本が,勇気と生きる力を生み出すようにと心より願っている.
(「おわりに」より)
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