1.見沼区障害者生活支援センター
見沼区人口:155,558人
精神保健福祉手帳所持者数:568人
1)見沼区における障害福祉相談窓口としての機能の充実とニーズ把握
今年度も昨年度に引き続き,見沼区における障害福祉相談窓口としての機能を充実させ,その役割を果たしていくことを目的に,新規相談者への対応と関係機関との連携,地域の支援環境の整備に取り組んだ.
新規相談は,年間128件.昨年度と比べると約1.5倍であった.相談者は本人,家族からがほぼ同数で多く,医療機関や支援課から紹介されて相談に繋がる人が多かった.関係機関においてある市内障害者生活支援センターのパンフレットや,コーディネーター連絡会議で発行している広報紙を見て相談に繋がる人や,通りすがりに立ち寄って相談していく人も増えてきている.
相談内容は幅広く,多岐に渡った.「うつを発症し休職を希望したが,職場の理解を得られず,今後どのようにしていけばよいか」「精神疾患の疑いのある人の転居の支援をしてほしい」といった相談にも対応した.このような相談からは,障害について無理解な企業の現実や,地域に未治療のまま孤立する精神疾患のある人の存在を浮き彫りにした.健康を保ちながら働くことのできる環境整備や,未治療の人に対しての受診援助の難しさや孤立した状況にある人への早期介入,地域の見守り態勢の構築などの課題が明らかになった.
また,「入院できる病院を紹介してほしい」「病状が不安定.どうしたらよいか」など医療や病状に関する相談も多かった.中には,「家族からの暴力から逃れるため施設を利用したい」「救急搬送された病院に入院できず入院可能な病院を教えてほしい」等緊急を要する相談もあった.「日中通える場所を探したい」「1人暮らしをしたい(させたい)」など住居や日常生活支援等を含む福祉サービス利用に関する相談や「障害があっても働ける場所を知りたい」といった就労に関する相談については例年同様に多かった.
家族からの相談には,「発病した家族にどう対応してよいか分からない」「家族だけで支えることは限界.どこかに繋がってほしい」という不安を訴える方も多く,家族に対する支援の必要性を改めて強く感じた.
新規相談の内,継続支援に繋がったのは,20件.1人暮らしに向けた住居探しに関わる支援,地域で安心して暮らしていくために必要なサービスや利用資源の調整,継続相談や必要に応じた面接・電話による相談などを行なった.
今年度の特徴としては,日常的に障害のある人を支える家族を支援者としてでなく,支援を必要としている人と捉え,家族への継続支援を行ったことが挙げられる.継続的な相談や電話連絡,訪問などを行い,日頃抱えている不安や思いを話してもらうことを通して,今までを振り返り,将来について話し合ったり,地域にある支援態勢について情報共有しながら,不安の解消や情緒の安定を図った.
また,見沼区の3障害対応相談窓口として,知的障害・身体障害対応型の生活支援センターを運営する鴻沼福祉会との共同運営も2年が経過した.今年度は,定期的な事例検討を行い,重複障害のある人について,新規相談の共有や,継続支援の内容についての意見交換や検討を行った.障害特性によって窓口は分かれているが,このような意見交換の機会を積み重ねていくことによって,それぞれが関わる重複障害のある人の障害特性に応じた支援を充実させていくことにつながると考えている.
2)関係機関との連携を深め,地域に必要な支援環境を整える
今年度も定期的に開催している見沼区サービス調整会議(隔月1回)を通して,関係機関が連携しながら支援態勢をつくるための継続的な検討を行った.障害のある人への支援だけでなく世帯全体への支援が必要な人,継続的・定期的にサービスの実施状況を確認しながら生活状況やその生活状況に合わせた支援態勢について検討が必要な人,重複障害のある人など検討内容は多岐に渡った.こうした会議の積み重ねもあってか,支援課,保健センターをはじめとした行政機関,サービス提供事業者,医療機関等関係機関とは,具体的な支援のイメージを持って,支援にあたれるようになってきており,必要に応じて連携できる関係性が深まってきていることを感じている.
一方で,昨年度から取り組んでいる民生委員との連携については課題が残る.今年度も地区ごとに分かれて定期的に行われる見沼区民生委員児童委員協議会に参加し,顔は何となく覚えてもらっているようではあるが,生活支援センターの役割を理解してもらうところまでは至っておらず,具体的な連携にはつながっていない.しかし,相談件数としては少ないが,民生委員からの紹介で生活支援センターへの相談につながった人もおり,今後も地道に生活支援センターの役割を知ってもらい,連携できる関係性をつくっていく.
また,さいたま市コーディネーター連絡会議にも参加し,関係機関と協力しながら市内の相談支援態勢の充実に向けての取り組みを進めた.合わせて,さいたま市の関係機関で取り組んでいる退院支援事業では,医療機関や福祉課,支援課,社会福祉協議会など関係機関と連携しながら支援を進め,退院者の安定的な地域生活の実現を目指した.
3)今後の課題
前述にあるように,重複障害のある人や,生活上の困難さを抱える世帯など,相談内容は幅広で多岐に渡っている.その中で,生活支援センターは,見沼区の3障害対応の一次相談支援機関として,限られた情報の中でニーズを把握し,今後の支援について見極めていくことが求められており,支援者の力量形成は継続的な課題である.また,現在までに構築してきた関係機関とのネットワークを基盤にしながら,新たに地域包括支援センターや民生委員とも関係を深め,地域での緩やかな見守りも含めた支援態勢を充実させることも来年度に向けた課題である. (宗野 文)
2.大宮東部活動支援センター
登録者57名
今年度も,従来より生活支援センターで行ってきた登録者への日常生活支援と環境整備の機能を柱に,活動を展開してきた.新規登録者は9名で,退院支援事業を経て地域生活を開始した人をはじめ,憩いの場を活用して仲間と出会い,安心感を得る中で生活を組み立てていく人も多く,他機関との連携の中で環境整備を図ってきた.
1)日常生活支援
(1)登録者への日常生活支援
今年度は,退院して間もない人が生活に慣れるために,道のりを覚えるためや安心のための同行支援,手続きの際の相談や同行支援が必要とされることが多かった.退院して間もないだけではなく,さいたま市で新たに1人暮らしを始める人もおり,住居を探す支援や,居住環境の整備,地域に慣れていくための同行支援等も求められた.
登録者全体を見てみると,それぞれ日中の居場所や,作業所,授産施設等の働く場所が安心できる場となっており,日常生活も自分なりの方法を確立してきている人が多い.必要な時の相談や,病状悪化時の医師連絡や通院同行を,他機関と連携しながら行ってきた.また,手帳や自立支援医療の更新などの手続き書類を一緒に確認し,提出する支援や支援課や医療機関等との調整なども行った.一方で,自分の生活のコーディネートに支援が必要な人とは,定期的な面接で確認しながら,必要に応じて他機関と連携し,安定した生活を送っていけるよう継続的に支援した.
また,金銭のやりくりが苦手であったり,困った時に支援を求められなかったりで,生活破綻の恐れがある人もいる.家族の支えによるものが大きく,家族が亡くなった後の生活に不安を抱える登録者は少なくない.その他,病状の不安定さを抱えており,働きたくても就労に結びつかない人などは,憩いの場での仲間との繋がりの中で安心感を得ながら,自分の状態や生活上の優先順位について共に考え,回復に向けて相談を重ねた.セルフコントロールが難しくなってきた時には,憩いの場で見守りながら声をかけ,他機関と連絡調整しながら生活の立て直しにむけて継続的に支援してきた.
その一方で,年齢を重ね,健康面を心配する声も昨年に引き続き多く聞かれた.長年単身生活を送ってきていても,休息を求めて,ショートステイを利用し始めた人や,急な体調悪化などもあり,グループホームの世話人と連携しながら支援にあたった.高齢化に伴う健康面の課題は大きくなっている.
また,まごころやエンジュに委託して,単身者への夕食宅配サービスを行った.合わせて週1回憩いの場でのランチサービスも提供した.単に食事の提供に留まらず,栄養の偏りの改善や,生活リズムの安定を目指して利用する人も増えている.
(2)憩いの場の運営
来所者が安心して過ごせるよう,必要な時には職員が対応できる態勢を整えてきた.憩いの場の利用間もない登録者には,得意な料理づくりを通して居場所を確保できるようにするなど,1人1人の状況に寄り添った支援を心がけた.その他,掲示による情報がより見やすいものとなるよう工夫を重ねてきた.
これまで,大宮東部活動支援センターでは,40代〜60代の男性の利用が多かった.しかし今年度は,女性や若い人の利用者が増え,ゲーム等を楽しむ時間が多く見られた.何もしない空間では過ごしづらかった人にとっては,レクリエーションを通して仲間との関係を育める大切な機会となっている.
その他,退院支援事業の対象者の見学や体験利用も,随時受け入れた.
2)日常の活動及びレクリエーション活動
(1)定例ミーティングの開催
月に1回の定例ミーティングにて,活動支援センターや法人の活動に関する検討,さいたま市の施策等社会情勢についての情報共有や学習に努めた.また,掲示による情報共有や個別的な連絡を通して,各々が必要な活動を選択していけるよう情報提供した.
(2)仲間づくりのための活動
退院して新たに地域活動支援センターの利用を開始する人が,来所しやすくなる工夫として歓迎会を開催した.季節ごとの年間行事では,お花見,バーベキュー,一泊旅行,クリスマス会や忘年会等,毎回10名〜20名近くの参加者があった.その他にも,退院して間もない登録者の「生活を楽しみたくても1人で出かける不安がある」との声をきっかけに柔軟に行事を開催し,環境に慣れ,仲間づくりができる機会を丁寧に作ってきた.
3)地域交流活動
学生実習や見学研修を受け入れ,メンバーが体験を伝えながら交流を図った.日常的には,メンバーそれぞれが南中野商店会の清掃活動等への参加を通して交流を深めている.
4)今後の課題
今後,退院支援事業を経て退院してくる人たちが,安心して地域生活を送る上で,仲間とつながり,必要な時に身近に相談や支援が受けられ,見守っていく役割の重要性がより高まっていく.1人1人に合わせて,柔軟に「仲間づくりの支援」を行っていくことが求められており,どういった形がいいのか,検討が必要である.今後も増えていくであろう退院してくる人たちに対応できる環境を,関係機関との連携の中で地域の中に整備していきたい.また憩いの場も,今年度は利用者が増えたことにより,やや手狭に感じられる日が少なくなかった.より安心して過ごせるよう,改善が必要になってきている.
また,親からの自立や就労,高齢化に伴う機能の変化等に対応できる,具体的な支援態勢を,関係機関と連携をしながら引き続き整備していくことが大切である.そうした将来への不安を抱いている登録者も少なくないので,将来に備えて,ともに考えていける機会も必要だと感じている.その一方で,来所の少ない登録者については,ニーズ把握が充分ではなく,丁寧なニーズ把握は,今年度に引き続き来年度に向けた課題である.
(中村 由佳) |