1)大宮区における障害福祉相談窓口としての機能の充実とニーズ把握
(1)新規相談の傾向
今年度の新規相談は84件で,昨年度に比べて件数が増加している.本人からの相談がもっとも多く,次いで家族,関係機関からの順に多い.行政機関や医療機関などで生活支援センターを紹介されて相談につながる人が多いが,その中でも今年度は,地域包括支援センターから「受診拒否の状況にあり,どのような支援をしたらいいか」という相談や,介護事業所から「退院後の受け入れ先を探している」といった相談など,広く地域の相談窓口としての役割を関係機関からも求められていることを実感した年でもあった.
相談者は10代から70代まで幅広い年齢層にわたり,40代で家族同居の男性の相談がもっとも多かった.大宮駅から近いという土地柄もあり,近隣市町村からの相談が多いことも特徴としてあげられる.また,近年は本人や家族・知人がインターネットで調べて生活支援センターの存在を知り,相談に来るという人も増えてきている.
(2)相談内容から見えるニーズ把握
相談内容は,「家にいる状況が長く,まずどこかに通うところから始めたい」「仲間づくりができる場所に行きたい」「家族以外の人と触れ合える場が欲しい」といった日中のすごす場が欲しいという相談や,「働きたいが何から始めていいかわからない」「就労に向けて次のステップに進みたい」「就職したいが対人関係で不安がある」という,働くことについての相談が多かった.家族からは「今まで支えていた両親が亡くなり,兄弟だけでは支えられない」「家族以外とのつながりがなく,将来家族がいなくなった時を考えると不安」「家族との生活が長く,突然の単身生活は心配.暮らしの場にはどのようなものがあるか」といった相談があった.家庭環境の変化に伴う支援力の低下による相談,家族亡き後の生活を心配しての相談が多いことから,家族が主たる支え手になっている状況が多いことがわかる.
また,いざという時のために情報を得たい,という相談も多く,情報提供や数回の電話や来所の相談で終了する人も多かった.
今年度継続相談につながった人の特徴は,うつ病を発症した人の回復支援,復職支援,そして経済基盤の確保などの相談が例年以上に増えた.また,ひきこもりの人への訪問支援にも取り組み,ゆっくりじっくり関わっていく支援の必要性を改めて感じた.積極的な訪問支援を可能にする態勢づくりが必要である.
2)関係機関との連携を深め,地域に必要な支援環境を整える
(1)退院支援の取り組み
今年度は退院支援事業においてケアマネジメント機関として4名の支援を行った.定期的なケア会議を通じて医療機関や福祉課などの関係機関と連携しながら,退院までの支援と,退院後安定して地域生活を送れる環境を整えることに取り組んだ.支援が進むにつれて関わる機関も増え,本人を中心に多機関で継続しながら関わる支援態勢が定着し,お互いの信頼関係が構築されてきた.その結果,関係機関から新規に生活支援センターの相談につながる人や,継続支援をする上でも連携がとりやすくなった.
(2)サービス調整会議の取り組み
今年度はサービス調整会議を月1回定例開催できたことで,@ 支援課との日常的な連携がとりやすくなったこと,A 同区内の知的・身体障害対応の生活支援センターと一緒に重複障害のある人への支援を進める機会が増えたことが成果であった.特に知的・身体障害対応の生活支援センターと協力しながらの支援を通じては,障害特性に合わせた対応について学ぶことが多く,それぞれの経験と知識を活かしながら役割分担し,支援を進めることができた.
3)今後の課題
(1)居住支援の充実
今年度の新規相談,継続相談から見えてきたことは,本人のニーズにあった支援や資源がまだまだ地域には不足しており,新たなニーズに十分対応できる状況にないということである.例えば暮らしの場も在宅か施設入所,または入院といった選択肢しかなく,家族が自宅で支えざるを得ない状況になっている.
2004(平成 16)年以降取り組んできたチャレンジハウス(生活体験型住居)も,今年度は例年以上に利用率が高く,精神科病院に入院中の人をはじめ,家族同居から1人暮らしに向けて移行するために利用する人も多かった.多様なニーズに対応できる居住支援の開発が必要とされる.
(2)家族支援の取り組み
これまでは本人のニーズに注目し,支援することが中心であったが,その本人の主たる支え手である家族が疲弊している状況で,家族への支援も本人の支援とは別に必要であることを痛感し,家族支援への着手は急務の課題といえる.
また,生活支援センターの相談につながっていない人への支援,ひきこもりの人への支援など,家族支援の取り組みから支援につながる可能性も大きい.しかし,それらをすべて生活支援センターだけで行うにはマンパワーの面からも限界がある.関係機関とチームで取り組む支援を可能にしていくための連携を具体的に検討していくことも課題である. (阿部 友恵)
今年度は,地域活動支援センターの役割と機能をより明確にしていくことを意識しながら,登録者への日常生活支援や主体的に様々な活動に参加していけるような環境整備を行ってきた.新規登録者は3名.登録者は,50〜60歳代が多く,加齢による機能の低下や内科的な疾患を併せ持つ方も増えてきている.登録者のニーズに即した日常生活支援や環境整備を行っていくにあたり,障害者生活支援センターをはじめ,グループホーム,作業所,区役所,保健センターなど,本人の生活に関わる機関との連携を大切にしてきた.
1)日常生活支援
(1)登録者への個別支援
登録者1人1人が地域で安心,安定して暮らしていけるために,必要な支援を行ってきた.何かあった時にすぐに相談ができる身近な資源の1つとして,電話や面接をはじめ,憩いの場で過ごす中での相談に対応してきた.歳を重ねることによって,様々な内科的な疾患を併せ持つようになり,治療を受ける方も増えてきている.その中でも,医療機関同士の連携が行われていない場合には,医療機関間の調整が必要とされた.また,糖尿病がありながらも,食事の自己コントロールが難しい登録者も増えてきており,憩いの場で糖尿病について学習したり,食生活について話し合ったりした.併せて自己コントロールを促す働きかけや,環境面の配慮など,健康課題について学び合い,自分なりに向き合って考えていける機会を持った.
また,病状悪化から回復期の人が自宅で孤立することがないよう,移動支援を導入し,慣れ親しんだ仲間と安心して過ごせるような支援や,年金等の書類の作成など,日常生活を送る中で必要に応じた支援を行ってきた.また,憩いの場の利用を通して,緩やかに見守る支援をしながら,変化が見られた時には声をかけるなど必要に応じた支援ができるようにしてきた.
また,憩いの場や作業所を利用しながらも,生活のはりや充実感がなかなか得られないという声も多く,活動支援センターの行事等をいっしょに企画運営するなど,積極的に参加できるような働きかけを行ってきた.また,法人内で行われているグループ活動やグラウンドゴルフやフットサルなどスポーツの取り組みについても情報提供や参加を呼びかけを行ってきた.
今年度の取り組みを通して,活動支援センターでは,登録者の暮らしぶりをきちんと把握し,必要に応じて柔軟な支援を行える態勢を整えたり,慣れ親しんだ仲間や環境の中で安定して暮らしていけることを保障することも大切な役割だということが明確になった.
(2)夕食宅配サービス
夕食宅配を希望する登録者に対して,1人1人の健康状態や,食事の管理について相談しながら,宅配サービスを行った.安心,安全なお弁当を食べることで健康的な食生活を送れることを支え,夕方届ける際に顔を合わせることで,生活リズムの安定や安否の確認につながっている.
2)日常の活動及びレクリエーション活動
登録者が主体的に生き生きと暮らしていけるための活動づくりを意識して取り組んだ.
(1)情報共有や学習の機会の提供
登録者が,自分の生活に関わる様々な情報を得て,学習し,検討する機会として,2か月に1回のミーティングを開催してきた.そこでは,障害者自立支援法やさいたま市の障害福祉総合計画へのパブリックコメントについてなど,自分たちを取り巻く法制度や社会情勢についての学習や,行事や憩いの場の使い方についての検討,今の暮らしの中での思いを伝え合うなど,話し合いを重ねてきた.
情報誌TUBU TIMESは,今年度より編集会議を設け,記事内容の検討や担当記事の分担をして作成し,登録者に必要な情報を届ける媒体として,年4回発行した.内容は,ミーティングの決定事項や連絡事項,行事報告や登録者の紹介やエッセイなどで,登録者を中心に配布し,活動情報の共有を図った.
(2)憩いの場での仲間づくり
憩いの場には1日に10〜20人が来所した.生活リズムの一部として,仲間と楽しく過ごす,ランチを皆と食べる,調子を整える,情報収集や意見交換,執筆活動等のライフワークを行うなど来所目的は様々である.登録者同士一緒に過ごしたり活動したりする中で,支え合いなどの関係性が育まれている.
また,毎週木曜日にホットサンドイッチづくりを継続して行ってきた.最初は限られた数名の人だけでつくっていたが,今では多くの人が参加するようになり「自分のできる範囲で手伝いたい」などと,調理手順を覚えたり,自分に出来そうな工程を担ったりと,積極的に取り組む姿勢が育まれつつある.このようなやりがいや楽しみを感じ,主体的に取り組める活動のバリエーションを今後増やしていきたい.
(3)行事の企画,運営,参加
年間行事計画を立て,行事を行った.菖蒲園の散策や暑気払い,カラオケなど,今年度は,幹事を決めて企画から話し合い,役割分担をして取り組むことを大切にした.「幹事をやってみて面白かった」「緊張したけれど何とか役割を果たせてよかった」など,役割を持ち,意識的に行事に取り組んでいた.
また,年間計画の行事に加えて,ぜんせいれん全国大会や10.31全国大フォーラム,埼玉県民集会などの学習や運動の機会にも皆で参加するなど,参加しやすい態勢を作った.
3)地域交流活動
やどかりの里大バザーに,チラシ配りや,ボランティア,お客として参加をし,地域住民やボランティアなどと交流する機会となった.また,精神保健福祉士資格実習の受け入れや,関係機関の職員や学生,当事者会など,さまざまな見学者を登録者と一緒に受け入れ,対応した.研修や実習の受け入れ,を通して,自分の体験や暮らしについての話や,メッセージを伝えるなど,交流を図ることができた.
今後は,活動支援センターの活動を通して,地域の人に向けた行事の企画など,積極的なつながりや交流が持てる機会を検討していきたい.
4)今後の課題
生活習慣病等の健康課題については,内科や保健センターなどとの連携も含めて,登録者が自分なりに健康を守って生活していけるように支援環境をつくって行っていくことが必要である.具体的には,生活習慣,生活環境の把握や見直し,関係機関との丁寧な連絡調整や学び合える機会の設定などを行い,自己コントロールしながら健康を守っていけるような取り組みにしていくことを目指したい.また,加齢による様々な機能の低下など,高齢化の課題については,日々の暮らしぶりを見守り,関係機関と連携をしながら,体調などの変化があった場合にも,早期に対応できる態勢をつくって行く.更には,1人1人が生き生きと生活できるための活動づくりを,地域との連携の中で形作っていけるように,地域との繋がりを創っていくことが今後の課題である.
(鈴木 裕貴)