1.大宮区障害者生活支援
センター
大宮区人口:109,695人
精神保健福祉手帳所持者:427人
1)大宮区における障害者福祉相談窓口としての機能の充実とニーズ把握
(1)新規相談から見た相談者の状況
今年度の新規相談者は46件で,30代・40代の男性からの相談が全体の3割ともっとも多かった.大宮区に住んでいる方からの相談がほとんどだが,市外・県外からは,「居住地に利用できる資源がないので,さいたま市の資源を利用したい」「さいたま市に引っ越して近くの資源を利用したい」といった相談もあった.社会資源の不足と,地域間で差が生じていることが課題として見えてきた.
また,今年度は行政機関や障害福祉サービス事業所から情報を聞いて相談に繋がる人が多くなり,市内の関係機関に生活支援センターが周知されてきている.しかし一方で,さまざまな機関が関わっていても支援につながらず,生活支援センターに来所する人も多く,ワンストップの相談支援態勢が市内関係機関の間でつくられることが急務の課題だ.
また,重複障害や発達障害,高次脳機能障害など制度やサービスの谷間におかれている人たちからの相談は,いろいろな機関に相談に行っているがどこも継続していない人,学校教育を修了後支援が途切れてしまった人など,支援の連続性が課題である.相談内容は,障害福祉サービスに関する相談がもっとも多く,日中の活動,ショートステイやグループホーム利用についての相談があった.また,「仕事を探しても見つからない」「仕事が継続できない」という就労に関する相談も多かった.
(2)継続支援から見た相談者の状況
継続支援となっている相談者は,今年度107名で,加齢に伴う認知機能の低下や身体機能の低下により,より手厚い支援が必要な人が増えた.介護保険サービスを活用する人もいて,さまざまな事業所との連携が増えている.
1人の人の生活に多くの支援者が関わることによって,ケア会議の開催も増え,支援計画の見直しを定期的に行うことが増えた.
また,今年度の取り組み目標としてきた家族支援については,本人が直接相談に繋がっていないが,家族が継続して相談に来ている人も昨年に引き続き多かった.また,世帯全体が複雑な課題を抱え,世帯員1人1人の支援を行うにあたって,多機関,多職種で関わることも多くなってきた.福祉サービスだけでは解決せず,労働,教育,医療,保健といったあらゆる分野に関わりながらも,問題解決につながらないことも多い.
面接相談や電話相談だけでなく,訪問支援も大切に取り組んできた.来所できないが,訪問することによって,関係性を作りながら,生活改善をしたり,活動に興味をもつようになるなど,ここ数年で取り組んできた訪問支援が成果として見えるようになってきた.
2)関係機関との連携を深め,地域に必要な支援環境を整える
(1)区の連携を意識した支援態勢づくり
今年度も同区内の知的・身体障害対応型の生活支援センター,区支援課と協力しながらサービス調整会議を月に1回定期的に開催した.また,さいたま市相談支援充実・強化事業にも合同で取り組み,支援につながらずにいる人や,支援が途切れてしまっている人の実態把握を行った.大宮区からは22件あがり,支援に拒否的だったり,引きこもりの生活を送っている人たちの実態が,浮き彫りになった.
大宮区保健センターが開催しているケースカンファレンスにも昨年に引き続き定期的に参加した.また,福祉課の担当者からも,「生活支援センターに繋げたい人がいるんだけれど」といった相談が入るようになり,大宮区内の関係機関との連携が日常的になってきている.
今年度の事業計画の中で,地区の民生委員との連携を取り組み課題の1つとしたが,定例会への参加は今年度1か所のみとなってしまい,定期的な参加ができなかった.
(2)退院支援事業の取り組み
昨年度に引き続き,関係機関と連携をとりながら,既に退院した方のアフター支援も含めると3名の退院支援に取り組んだ.
事業としての取り組みは退院後アフター支援期間を経て終了するが,生活支援センターでは退院後も継続的に地域生活定着までの支援を行っている.5年にわたる退院支援事業で関わった人は8名.退院支援事業の積み重ねで市内精神科病院との日常的な連携ができ,事業対象者に限らず,退院支援の取り組みを精神科病院との連携で進める態勢ができた.
特にチャレンジハウスへの関心はいずれの精神科病院も高く,利用する本人だけでなく,看護職員らの見学にも随時対応してきた.
3)今後の課題
(1) 相談支援態勢の拡充
現在,生活支援センターが継続支援している人は107名.年々新規相談から継続支援につながっていく人も増えていく.それに対し,対応する職員は1.5人と変わらない.電話相談,来所面接,訪問,ケア会議と1人1人に応じて多様に対応しているが,相談者からは「いつかけても電話が繋がらない」「忙しいから相談できない」等の声が多くなり,マンパワーの不足が切実だ.相談支援態勢の拡充が,年々大きな課題となってきている.
地域のニーズに対応するためにも,マンパワーの確保や関係機関とのネットワークによるサポート態勢の構築などが継続した課題である.
(2) つながる支援・創り出す支援
コーディネーター連絡会議で取り組んできたさいたま市相談支援充実・強化事業では,地域で孤立化し家庭内に問題があっても,支援につながっていない人たちへの訪問支援を支援課との連携で進める動きができてきた.今年度は2件の支援が始まったが,引き続きリストアップされた人たちへのつながる支援を創り出していきたいと考えている.
同時に支援が途切れないための手立てをさいたま市の相談支援態勢の課題として考えていく必要がある.また,相談者は障害の状態もさまざまで抱える問題も複雑で深刻化してきている中,医療・福祉・保健・教育・労働分野との包括的な支援態勢を創り出していくことも,今後の大きな課題である.
2.大宮中部活動支援
センター
登録者:39名
今年度は,登録者が安心,安定して暮らしていけるように,健康課題も意識した日常生活支援や環境整備,ニーズに応じた活動づくりを大切にしながら活動を展開した.
昨年度活動開始から10周年を迎え,記念行事を開催するなど,1つの節目を迎えた.そして,今年度長年活動してきた場所から移転し,広くなった活動スペース,段差の少ない1階玄関,ゆったりくつろげる明るいリビング,足を伸ばして入れるお風呂,と憩いの場としての機能が充実した.
1)登録者への日常生活支援と環境整備
今年度の登録者は39名で,内新規登録者は3名.日中の居場所づくりや活動への参加,仲間づくりや生活リズムづくり,日常的な困り事などの相談ができる場所としてなど,利用希望の相談も多く,体験利用をする人も増えている.
登録者は,50歳以上が27名と多く,うち内科疾患等を抱えて継続的に通院や服薬による治療をしている人は15名である.今年度は,登録者1人1人の生活や健康の状態を把握するように努め,健康診断受診の促しや日常生活における食生活の改善や運動などみんなで考え,健康を意識した取り組みを行った.
(1)健康課題についての取り組み
登録者の中でも,加齢や食生活の偏り,運動不足等によって,糖尿病や高血圧などの生活習慣病を抱える人,膝や腰など身体面で不具合がある人なども多い.そのような中で,日々の生活に精一杯で,内科等への受診や治療の継続が難しくなっていたり,複数の科を受診しているが医療機関同士での連携がないため,大量に薬が処方されていることもあった.健康課題を意識して関わる中で,登録者の健康状態や生活習慣が徐々に明らかになってきた.
そこで,今年度は生活習慣病に関する研修会にも積極的に参加し,保健師による訪問指導や医療機関との調整など,健康管理に関する支援を行った.また,日常的には,血圧測定や定期的な体重測定を声を掛け合いながら取り組むことで,自分の健康管理についての意識が徐々に育まれてきている.
また,通所授産施設エンジュに委託している夕食宅配サービスを,生活習慣病の予防や改善,高齢化による食事準備の大変さの軽減などを目的に,利用する人も増えてきており,13名が利用するようになっている.
その他,今年度の猛暑の中,熱中症の危険性が高く,障害者生活支援センターやグループホームなどと連携し,特に単身生活する登録者宅に訪問をし,注意喚起と併せて,エアコンの効き具合や食材の保管状況などを確認し,熱中症や食中毒の予防にも取り組んだ.
(2)届ける支援の取り組み
加齢や障害の重度化などにより,自宅から出られなくなったり,移動が大変になる登録者も増えてきている.そのような中で,人間関係が希薄になって孤立してしまったり,生活リズムが崩れてしまったり,支えている家族の負担が大きくなるといったことも起こってきている.そこで,電話や訪問によって生活状況を把握しながら,諸手続きや買い物などの同行支援や,さまざまなサービスや活動などの情報提供など,ご本人や家族の相談に対応しながら,サービス導入の調整等を必要に応じて行った.また,来所できなくても電話を介して人とつながりたいというニーズも高く,電話相談の対応は1日平均18件となった.
また,介護保険サービスを利用し始めた登録者もおり,介護保険事業所などとの連携も必要になってきている.訪問による届ける支援,電話でつながる支援など,今後も関係機関と連携しながら必要な支援態勢をつくり,安心,安定して暮らしていける支援の充実を図っていく.
2)ニーズに応じた活動づくり
(1)安心,楽しい,活動づくり
活動支援センターには,1日平均12名が来所した.活動支援センターに来ると安心する,ほっと一息つけるなど,気心の知れた仲間や職員がいること,何かあれば相談ができることなどが安心感につながっている登録者も多い.それぞれが安心して利用できるように,希望に応じて相談ができる時間を保障すること,いっしょに過ごす中で安心して話ができる関係づくりを大切にしてきた.
憩いの場では,おしゃべりなどの日常会話や様々な情報交換,執筆活動や折り紙工作,ギター演奏やDVD鑑賞など,それぞれの人のペースを配慮し合いながら,空間を上手に活用しながら過ごしていた.
毎週木曜日には,ホットサンドイッチづくりに取り組み,毎週10名前後が参加.生活の張りや楽しみとなっている.
活動支援センターの行事は,年度当初に予定を決め,幹事が中心になって企画運営をしている.今年度もお花見やカラオケ,暑気払い,1泊旅行などが開催され,登録者の企画や運営の力量もついてきている.
(2)学習や運動への参加の機会
隔月に1回,ミーティングを開催し,障害者施策などの社会情勢についての学習や,やどかりの里全体の動きの共有,行事の計画や意見交換,憩いの場の使い方など,参加者で話し合ってきた.ミーティングへの参加者は毎回10名前後で,参加できなかった人にはミーティング記録の掲示や配布を行った.
また,今年度は,障害者権利条約や障害者自立支援法,さいたま市ノーマライゼーション条例(仮称)など,制度や社会情勢について学び合う「中部ミニ学習会」を月1回程度開催し,疑問を出し合いながら学習を重ねた.そして,さいたま市学習フォーラムやノーマライゼーション条例100人委員会,10.29全国大フォーラムなどにも参加した.
活動支援センターの取り組みや社会情勢など,登録者に必要な情報を届けるための情報紙を,登録者と職員が編集会議を設けて内容を検討し,作成し,年に2回発行した.
また,登録者のご家族に向けた支援の一環として,「さいたま市精神保健福祉地域ネットワーク連絡会」への参加を呼びかけ,家族支援をテーマに活発な意見交換が行われた.
3)今後の課題
登録者の高齢化や健康課題の深刻化が進んでいくことが予測される中で,登録者1人1人の健康状態や生活状況を関係機関との連携をしつつ把握し,必要な医療や福祉の支援を届け,見守っていく支援態勢をつくっていくことが必要である.まずは,訪問支援や活動支援センターでいっしょに過ごす時間を通して,生活状況や健康課題を把握し,必要な支援の導入や調整等を行っていく.一方で,登録者が健康についての意識が少しずつ育まれてきてはいるものの,具体的に生活習慣の改善や健康の維持に向けての取り組みが進まない現状がある.今後は,移転後の広くなった活動場所を活かしつつ,地域のボランティアなどの協力も得ながら,健康づくりの活動などを進めていきたい. |