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やどかり情報館(精神障害者福祉工場)

やどかり情報館とは
やどかり情報館は,精神障害を持ちつつも,労働者として安心して働きたいという思いから,埼玉 県大宮市(現さいたま市)染谷に1997年4月に開設いたしました.福祉工場の特徴は,障害者として利用する施設ではなく,最低賃金を保障し,労働者として雇用されるところにあります.
やどかり情報館は,やどかり出版,やどかり印刷,やどかり研究所の3つ事業からなりたっています.障害者ならではの情報の発信基地を目指した活動を行っています.私たちは,精神障害者が病気や障害を抱えつつ,前向きに生きていくことの中に大切な価値があると考えています.書籍や,体験発表会などイベントを通
じて情報の発信を行うなど,病気や障害の体験を活かした仕事づくりをしています.
また,障害を持った従業員は,健康を守りつつ働くために,週に最長で35時間(実質30時間)労働です.雇用契約に関しても,常に働きやすい環境を作るために短期間で見直しをして,働く日数や時間をそれぞれの状況に合わせて調整しています.
そして従業員と職員の関係は,ともに仕事のプロフェッショナルをめざすパートナー(同僚)です.1人1人が生き生きと働くためには情報を共有し,ともにやどかり情報館の運営について考えていくことが必要です.そのため,毎週1回の全体会議で,お互いの仕事の流れを共有し,情報館全体の運営について検討しています.
また,染谷という地域の一員として,市民の方々ととも響き合いながら生きていくことを目指しています.やどかり情報館2階には80人で利用できるホールがあり,地域の皆様にご利用いただいております.
やどかり情報館の開設にあたって
やどかりの里は,1970年に活動を開始しましたが,始めの20年間は公的な補助金がなく,自主運営を続けており,存続することに大きなエネルギーを割いていました.精神保健法に社会復帰施設が位
置づけられたことを機に,1990年に援護寮と通所授産施設を開設し,その後作業所,グループホーム,生活支援センターを街の中に開拓してきました.そうした生活を支える資源が充実し,それぞれが街の中で自分らしく生きるための基盤ができたころ,生活保護を返上し,障害年金と自分で働いた賃金で生活したいという希望が出されるようになってきました.そこで検討されたのが福祉工場でした.
やどかり情報館の概要
やどかり出版とやどかり印刷,そしてやどかり研究所の3つの事業により成り立っています.定員は30名ですが,現在18名の従業員が働いています.仕事の内容は,出版では,企画,編集,制作,本の発送、販売管理,文化事業部ではイベントの企画や体験発表会、講師派遣なども行っています.印刷ではコンピューター入力,印刷,製本等の仕事があります.また.研究所では,会員の管理,ニューズレターの発行など,事務局の仕事があります.毎週1回の全体会議で,情報館全体の運営についてと,お互いの仕事の流れについて、情報を共有する努力をしています.
やどかり情報館が大切にしていること
1. 精神障害者の病気の体験や障害の体験には大きな価値があると考えています.その体験を生かした仕事づくりをすることです.
2. それぞれが健康を守りつつ働く職場であること.週に最長で35時間労働(実質は30時間),短期間で雇用契約の見直しをすることになっています.働く日数,時間については,それぞれの状況に合わせて選ぶことができます.
3. 従業員と職員の関係性は援助関係ではなく、お互いがともに働くパートナーであること.そのためには情報を共有し,ともにやどかり情報館の運営について考えていきます.
職員配置
施設長 1
精神保健福祉士 1
指導員 4
看護士 1
医師(顧問医) 1
事務員 1
出版顧問 1
開所時間 9:00-18:00(日,月,祝祭日は休館)
定 員 30名
苦情窓口
苦情解決責任者 増田 一世(やどかり情報館館長)
苦情受付担当者 宗野 政美(やどかり情報館副館長)
第三者委員 新井 俊夫(片柳公民館館長)
その他の活動
・情報の共有を図るため,毎週火曜日全体会議を行っています.
・毎週火,金曜日,全員で館内の掃除をしています.
・年に1回社員旅行に行きます.
・やどかりの里で行われる様々な行事,会合に参加します.
・年に2回地域の清掃活動に参加しています.
ご案内地図

<JR大宮駅(埼京線,宇都宮線,京浜東北線,東武野田線他)から>
東口より
国際興業バス7番(系統:大01)「大谷県営住宅行き」乗車
「向大谷」停下車 徒歩10分
時刻表
<JR北浦和駅(京浜東北線)から>
東口より
東武バス(系統:岩02)「宮下行き」「岩槻駅行き」乗車
「向大谷」停下車 徒歩10分
時刻表
<向大谷バス停から>

国際興業バス,東武バス いずれも「向大谷」バス亭で下車します.
バス停で降りたら,来た道を少し戻ります.「思い出の里市営霊園」「大宮聖苑」の案内標識が見えますので左折します.
道なりに進むと「思い出の里市営霊園」の入口が左側に見えてきます.さらに道なりに進みます.
左側に「大宮聖苑」の案内標識が出てきますが,まっすぐ進みます.
氷川神社の鳥居を過ぎると周りに畑が見え,民家もまばらに見えてきます.
ビニールハウスを過ぎると「やどかり情報館」につきます.
<JR大宮駅(埼京線,宇都宮線,京浜東北線,東武野田線他)から>
東口より
国際興業バス7番(系統:大01)「大谷県営住宅行き」乗車
「向大谷」停下車 徒歩10分
時刻表
<JR北浦和駅(京浜東北線)から>
東口より
東武バス(系統:岩02)「宮下行き」「岩槻駅行き」乗車
「向大谷」停下車 徒歩10分
時刻表
<さいたま市東部,岩槻,春日部方面の方々へ>
さいたま市のコミュニティバスのバス停が「やどかり情報館」の前に設置されました.
バス亭の名前は,「やどかりの里」です.
運行は当面1時間に1便で,東武野田線の大和田駅から利用できます.
どうぞご利用下さい. 料金は,190円です.
時刻表およびルート
雇用までの流れ
情報館見取り図
平成19(2007)年度 事業計画
平成18(2006)年度
事業報告


<平成20年(2008年)度事業計画>
1)やどかり情報館
従来の3事業(出版・印刷・研究)に加え,昨年度試行的に行ってきた協働ネットワーク推進プロジェクトを事業に加え,4事業として事業を進めていく.
保護雇用に近い形態を持つやどかり情報館で働きたいという希望を持つ人は多く,事業の拡大に努めながら,障害者雇用を進めていく.また,精神疾患や障害を抱えつつ働くことに留意し,職務の向上のために労働支援プロジェクトの支援や体調管理のために生活支援センターの協力を得ながら,安定的に働くことを目指す.
事業の拡大を意識し,法人全体,地域の関係機関との連携をはかりながら,事業を推進していく.また,地方自治法の改正に伴い,行政からの役務の提供なども随意契約で進められることになっており,行政等関係機関からの仕事の受注の拡大をはかっていく.
(1)やどかり出版
単行本・雑誌「響き合う街で」の発行を中心にしながら,購読者層の拡大をはかっていく.テープ起こし・編集・組版などの技術の向上をはかりつつ,外部からの仕事の受注も積極的に進める.
また,仕事おこしの一環として,精神障害のある人を対象にした訪問介護員(ホームヘルパー)2級の養成研修を行う.
(2)やどかり印刷
製版・刷版工程のフルデジタル化に向けて,CTP(Computer to Plate)システムの導入をはかる.CTPは,デジタルデータから直接刷版を出力するもので,文字の鮮明度や写真や図版の階調度などが増し,印刷表現の幅を大きく広げるものである.
このCTP導入に伴い,これまで,文字やイラスト,図形などを,一枚の台紙にレイアウト通りに貼り付けたり,描いたりしてきた版下作業は,パソコンで,完全なデジタルデータを作成する作業へと変わるため,即応していく技術的な課題解決が直近の作業となる.また,このDTP(Desktop Publishing)作業の直接的な担い手となる人の養成と,やどかり出版の版下作成部門を含めたワークフローの見直しとチーム編成についても検討していく.
今年度も,個々の専門スキルの向上を計り,高生産性の職場として事業を拡大していく.
(3)やどかり研究所
毎月開催する運営委員会を中心に事業を進める.年に数回のやどかり研究所サロン,2月にはやどかり研究所報告・交流集会を開催する.必要に応じて,研究班活動に取り組み,テーマによっては研究助成金などの申請を行い,研究活動がスムースに行えるように整えていく.
(4)協働ネット推進プロジェクト
「協働ネットさいたま」の加盟施設として,障害のある人の仕事おこしと協働労働をテーマに活動を進める.
① 思い出の里植栽管理業務請負(継続)
毎週,火曜日,水曜日,金曜日(彼岸とお盆,年末年始は特別清掃)午前9時30分〜11時30分,2名派遣
② 青山苑ゴミ収集業務請負(新規)
毎週,金曜日(彼岸とお盆,年末年始は特別清掃)午前10時00分〜11時00分,2名派遣.
③ 物販・飲食事業(継続)
思い出の里霊園内にて仮設テントによる物販,飲食事業の試行.
④ 墓石のクリーニング事業(新規)
事業化に向けて調査・研究を行う.
⑤ 協働ネットさいたまの活動基盤づくり
法人格の取得準備,定款,活動理念,事業計画づくり,交流会の実施.
<平成19年(2007年)度事業報告>
1.やどかり情報館
精神障害者福祉工場
1)障害のある人を雇用する態勢について
今年度は6人が新たにやどかり情報館で働き始めた.就労希望者は多く,職場見学には随時対応してきた.すぐに就労という人ばかりではなく,今後の人生設計を描くうえで情報館の見学をしたいという人も来館した.
また,これまでは生活上の課題は生活支援センターに相談をしながら,職務上のことはやどかり情報館で対応し,継続して働くことを支えてきた.今年度は,職務上のさまざまな課題について,従業員1人1人の必要に応じてやどかりの里の新たな活動として立ち上げた「労働支援プロジェクト」の支援を受けた.職務能力の向上を図るため,あるいは自分自身の疲れやストレス傾向を自覚し,対処方法を身につけるためにプログラムを利用する人もいた.また,労働支援プロジェクトの協力のもと,希望する人にはメモリーノート(スケジュール管理,行動管理,行動記録,情報共有等の基本リフィルがあり,職務の遂行を助けるシステム手帳)の活用が進み,職員と従業員がともにメモリーノートを活用するための研修を受けつつ,導入を図った.
また,労働行政上の助成金制度を利用するためには,やどかり情報館の勤務時間が短いため,1日の基本的な労働時間を9:30~17:30に1時間延長した.体調に合わせて従来通りの9:30~16:30の勤務等も選択できる仕組みとした.
ハローワークからの紹介に加え,県内の就労支援センター,障害者職業センターなど,県内の関係機関からの紹介が増えた.また,これまでは統合失調症の人が中心であったが,疾病・障害の種類が多様化し,職務上の課題も幅広くなり,職場環境を整える等の工夫が求められた.
2)事業の拡充・発展の課題
出版事業の全般的な冷え込み傾向の中で,出版と印刷を併せ持つことの強みをどのように生かして,事業展開を進めていくのか問われた1年であった.出版・印刷の事業を進める際に課題であった版下作成のシステム化,
長年,課題として掲げつつも抜本的な解決に至っていない営業活動の充実が,今年度も課題であった.
編集や印刷技術の習得に向けて専門性を高めつつある従業員の成長がみられる一方で,出版・印刷事業以外の事業展開の必要性も明らかになった.
今年度新たにスタートした協働ネットワーク推進プロジェクトによる霊園清掃なども職域拡大の1つの手がかりである.職域拡大を進める際にも,雇用が原則であり,最低賃金を保障できる事業の導入という大前提の厳しさを実感する1年でもあった.
3)障害者自立支援法とやどかり情報館
障害者自立支援法にもとづく新事業体系への移行については,今年度は具体的な検討は行わなかった.新規事業・事業規模拡大の検討を行い,障害のある人を幅広く雇用できるような事業所としての基盤づくりを目指した1年であった.
また,協働ネットワークの取り組みに見られる地域の関係機関等との連携で新たな地域連携の中での事業起こしの可能性を追求し始めた1年でもあった.
(増田 一世)
(1)やどかり出版
11月から年明けの1月にかけて,6冊の単行本を出版した.かなり厳しいスケジュールの中で,やどかり出版とやどかり印刷が協力態勢を組み,それぞれの期限に合わせて出版を進めた.
「さいたま市」の活動をまとめた本が2冊出版できたということは,大きな成果だった.さいたま市の中で本づくりを通して協力態勢や連携の力が強くなっていったこと,互いに育ち合う関係が生まれていったことなど,本づくりを通して成長・発達する機会を創ることができた.そして,さいたま市でのネットワークを基盤にした活動を全国発信できたことも大きな成果であった.
自立支援法をはじめ,社会の情勢が大きく変化する中で,出版活動に求められるニーズの変化もあり,季刊誌「響き合う街で」の誌面の刷新,月刊化などの検討を行い,内外の関係者に幅広く意見や助言を求めた.月刊化については,現在の力量では無理があるため,季刊誌のままで誌面の刷新を進めることとした.
編集・版下作成など,技術の向上を意識した取り組みが進み,制作・校正など従業員の力量が高まりつつある.また,テープ起こしは集中力や持続力が求められる業務であるが,テープ起こしの技術力も高まってきており,テープ起こしの作業から,原稿化の作業,制作,そして印刷・製本と一貫した作業を請け負う仕事を始めている.こうした仕事の開拓は,1人1人の力量が高まっていくことで進めていくことができる.そういう意味では,今年度は,1人1人の力量を高めていく準備期であった.
また,当事者のヘルパー養成事業の準備を進めており,新たな仕事の開拓を進めている.
(増田 一世)
① 編集部
単行本
単行本8冊,編集・制作を委託されたもの4冊と,ほぼ例年通りの出版点数であった.ただ,限られた人数の中で短期間に6冊というペースは今までにないことであった.納期に間に合ったのは,同じ施設内に印刷事業があったからであり,改めてありがたさがわかった1年であった.
また,今までなかなかできなかったさいたま市の取り組みまとめた本を2冊発行できたことは大きなことであった.
やどかりブックレット
ブックレットは,今年度改訂版1冊のみだった.現在,初めての企画として精神障害のある人から「私の生きてきた道のり」として原稿を募集している.(渡邉 昌浩)
単行本一覧
・ふあっと 2007年5月
・辰村泰治の70年 2007年8月
・グループホーム豊かな暮らし第2版 2007年9月
・私たちがつかんだ宝物「さいたま市っていいね」って言われたい 2007年11月
・働きたいあなたへのQ&A 2007年12月
・ケアマネジメントと地域支援システム 2007年12月
・つながって、生きる 2008年1月
・成人期障害者の虐待または不適切な行為に関する実態調査報告 2008年2月編集・制作
・駒澤大学心理臨床研究第6号 2007年8月
・第6回ヘルスケア関連団体ワークショップ報告集 2007年9月
・第39回全国自治体に働く保健師のつどい報告集 2007年12月
・心理劇 第12巻 2008年2月
増刷
・精神保健福祉士(PSW)の魅力と可能性 2007年4月
・いのちの地域ケア第2版 2007年4月
・これでいいのか障害者自立支援法1 障害のある人からのQ&A 2007年6月
雑誌 『響き合う街で』
今年度は,厳しい社会情勢に対峙できる雑誌づくりを模索し,雑誌内容を見直す作業を編集部,並びに外部の有識者の協力をえながら検討を重ねた成果を,少しずつではあるが誌面に反映していった年であった.来年度もひき続き,より一層の誌面の充実を図っていきたいと思う. (工藤 菜乃)
・41号 特別インタビュー 障害のある人の権利に関する条約 この条約で日本は変わることができるのか 藤井克徳・増田一世
特集・障害者自立支援法 流れに抗して 地方の時代を実現でいるか 4自治体の取り組み
・42号 全面特集・第5回やどかり研究所報告交流集会
・43号 特集 障害のある人の権利に関する条約 私たちが私たちの暮らしを変える
・44号 特集 福祉の労働環境 今,現場では何が起こっているのか
『公衆衛生ジャーナルさるす』
編集者である全国保健師活動研究会の都合により発行されなかった.
② 販売管理部
出版全体の従業員の数が増え,販売管理部の業務にもより多くの人が関わるようになった.販売管理部は直接お客様に商品を届ける仕事であり,ミスをしないための細心の注意が必要である.
一方,従業員が増えてきたことで,手順を覚えるまで1人1人に添うようなこれまでのやり方では,立ち行かなくなりつつある.発送手順のマニュアル化,必要備品の管理などの担当責任者を決めるなど,それぞれの力がより発揮できる仕組みづくりが急務である.
(長谷川 健一)
③ 文化事業部
販売促進
現在,書店,病院やクリニック等の精神科医療機関,施設,大学に販路を広げている.さいたま市内の関係機関においては,やどかり出版の認知度も高まってきたが,それを収益へ反映させること,新たな企画づくりに結びつけることが課題である.
体験発表会
「私たちの人生って何?人生の中で今がいちばん幸せ‐22年間の長期入院から退院して」と題し第27回体験発表会を開催した.発表者はメンバーの辰村泰治さん.当日は90名を越える参加があった.満州で育った幼少期の体験から22年に及ぶ入院生活,そして現在の暮らしなど70年の足跡が語られた.
講師派遣・講師登録者学習会
各地から依頼を受け,講師登録をしているメンバー,職員を派遣した.今年度はメンバーへの要請,市町村の人権講座で精神障害のある人たちの実際を伝える機会が増えた.月1回の派遣会議で派遣者の決定,講演報告,意見交換をしている.外部への派遣は県内21件,県外52件,内部への派遣は23件だった.
また,体験を語る準備として講師登録者学習会を月1回開催した.講師が運営委員となり事前準備,会の運営を担っている.今年は外部から看護師や作業療法士に参加いただき,精神科病院の実状を伺う機会を得た.
研修事業
体験研修,地域生活の基本を学ぶワークショップ(17名参加)の開催,福祉,看護,教育等を学んでいる学生の研修,資格実習の受け入れも行った.各部署の協力を得,職員,講師の面々が一翼を担った.県内からの研修者は28件338名,県外からの研修者は32件209名だった.
また,次年度に向け,訪問介護員2級の資格を精神障害のある人たちが獲得できるように開講準備を進めている. (佐々木 千夏)
(2)やどかり印刷
① 受注・売上状況
年間を通しての受注量は,昨年を上回り,売上総額,利益とも前年比アップを達成した.
受注量増加の要因は,近隣にある授産施設が印刷事業から撤退し,その業務の一部を引き継いだことや,やどかり出版からの新刊本の発刊に伴う出版印刷量の増加が主要なものであった.一方,不採算で終了を考えていた年賀状印刷の戸別出張サービスも,少数だが,近隣の高齢者に確実なニーズがあることがわかり,今年度も継続していくことになった.
また,課題であった最新のデジタル技術に適合する印刷関連機器の環境整備は,パソコンの増設と最新DTPソフトの導入,フォントの環境整備にとどまり,総合整備の核となるCTPの導入は次年度に持ち越すこととなった.
② 態勢
<印刷部門>
職員1名,従業員2名(非常勤)が作業を行い,12月より実習生1名が職場実習を行った.受注量の増加に伴い,機械の稼働率は9割を超えた.また,両面印刷機の電子操作パネルの異常で,一定時間,電源が入らないという不具合が頻発し,対応に苦慮することとなった.現行の機械は初期整備から10年が経過し,根幹をなす部分で不具合が出始めている.高い品質と経費の削減を目標に効率的な作業をしていくためにも,昨今の技術革新の動向を見極め,顧客ニーズに適合する設備の整備が直近の課題となっている.
一方,従業員の機械オペレート技術は年々向上しており,従業員が実習生に作業の基本を教える場面も見られるようになっている.
<製本部門>
作業量が増えたが,専従の担当者が置けず,作業工程に応じて,印刷部門の職員と従業員が分担し作業を進めた.
今年度は,不注意によるミスで落丁や乱丁,断裁へのクレームを数回発生させてしまった.いずれも納期が切迫している場面で起きており,あせらず注意深く作業をすれば, 未然に防げたものばかりであった.
製本オペレーターの専従化と人員の拡充が課題となり,従業員の求人はトライアル雇用制度を使って行ってきたが,態勢の整備を図ることはできなかった
<入力・DTP部門>
職員1名,従業員3名(非常勤)が作業を行い,実習生1名が1月より体験実習を行った(3月に非常勤で雇用).入力作業は主に,やどかり出版よりテープ起しの作業を受注し,作業を行った.
DTP作業としては,単行本の表紙デザインやチラシ,名刺,はがき等の版下づくりを行った.また,DTPの作業環境をWindowsに統一させ,これまで作成してきたMac環境のデータを移行していく準備を始めた.
<ITソリューション部門>
入力・DTP部門の職員1名,従業員1名(非常勤)が兼務で作業を行い,やどかりの里のWebサイトの運用とネット環境の保守管理業務を行った.サイトの運用では,国の精神保健福祉に関する最新の情報をいち早くWebに掲載,積極的な情報発信を行った.
その他,日本健康福祉政策学会より,第11回学術大会の新規コンテンツの開発作業を請け負った.また,やどかり出版のWebサイトのリニューアル作業が進行中である.
<営業部門>
新規取引先が増えたことに伴って,生産管理や請求事務など,管理運営に関わる業務を分業化させ効率を図ることが必要となっている.また,専従の担当者を置いていないため,年間を通して充分な営業活動ができなかった.アフターフォローをはじめ,印刷に関わる企画や提案,プロデュースなど新たな付加価値を提供をしていく営業力の強化と人員の確保が課題となっている.
(宗野 政美)
③ 平成19年度事業内容
・出版物等の冊子【組版・印刷・製本】(顧客先)
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月 |
MSW 50周年
プラクティス2
環境サスティナビリティ
いのちの地域ケア
所報
ふあっと
ほっとぽっと
マイベストフレンド
響き合う街で41号
緊急出版・1
実習報告書
活動報告書
学会報告集
研修会報告集
職場報告集
活動報告
辰村泰治の70年
心理臨床研究
セルプアンケート調査書
プラクティス2
響き合う街で42号
ヘルスケア
グループホーム
わたしたちがつかんだ宝物
兜門
労働支援Q/A
兜門選評
響き合う街で43号
看護協会抄録
ケアマネ
つどい報告集
つながって生きる
抄録集
虐待報告書
心理劇
響き合う街で44号
実習報告
活動報告書
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134P*1000冊
218P* 500冊
50P* 100冊
322P* 500冊
64P*1,000冊
228P*1000冊
120P* 200冊
104P* 500冊
80P *800冊
118P* 300冊
240P* 110冊
100P* 300冊
110P* 350冊
162P*1600冊
154P* 280冊
38P* 350冊
172P*1000冊
76P* 300冊
28P*1000冊
218P* 500冊
86P* 800冊
54P*1000冊
90P* 500冊
98P*1500冊
86P* 200冊
100P*1000冊
24P* 100冊
72P* 800冊
24P* 430冊
152P*1000冊
146P*1000冊
162P*1000冊
24P* 430冊
192P*1015冊
94P* 500冊
72P* 800冊
158P* 400冊
100P* 100冊 |
(日本MSW協会)
(やどかり出版)
(法政大学)
(やどかり出版)
(やどかりの里)
(やどかり出版)
(ほっとぽっと)
(やどかり出版)
(やどかり出版)
(やどかり出版)
(日赤看護)
(中央区支援c)
(日本健康福祉政策学会)
(日精診)
(大宮厚生病院)
(さいたま市)
(やどかり出版)
(やどかり出版)
(埼玉セルプ)
(やどかり出版)
(やどかり出版)
(やどかり出版)
(やどかり出版)
(やどかり出版)
(兜門会)
(やどかり出版)
(やどかり出版)
(やどかり出版)
(やどかり出版)
(埼玉看護士協会)
(やどかり出版)
(やどかり出版)
(川村学園大)
(自費出版)
(やどかり出版)
(やどかり出版)
(聖学院大学)
(中央区支援C) |
・機関紙【組版・印刷】
◯毎月発行
「やどかり」
「クリーニング組合月報」
◯年2回発行
「健康政策情報」
「クリーンメイト」
「わだち」
「やすらぎ」
「地域医療ニューズレター」
・ちらし・パンフレット【デザイン・印刷】
<一般外部>
埼玉県精神保健福祉協会,ひがメンタルクリニック,けやき心理相談室,美容室べむ,東京企画,ヘルスプロモーション研究所,さいたま市障がい者施設連絡会,クリーニングコメット,埼玉県土地家屋調査士政治連盟,弘文堂書店,クリーニング組合大宮支部,日本健康福祉政策学会,東京主僕教会,金子建具店,鷺谷メンタルクリニック,地域医療振興協会,埼玉県社会福祉協議会,西部産直グループ,さいたま市障害者施設連絡会,埼玉メンタルクリニック,スワンベーカリー,新舞踏連盟,クリハラ
<法人内部>
やどかりの里,やどかり研究所,やどかり出版,やどかりの里後援会
・封筒【デザイン・印刷】
<一般外部>
飛鳥会,埼玉精神神経科診療所協会,埼玉県精神保健福祉士協会,ビップトップ,東京企画,日本健康福祉政策学会,ひがメンタルクリニック,ゴスペルアワー伝導団,きょうされん埼玉支部,大浦工測,大宮エヴァグリーンクリニック,エスエス建材,鷺谷メンタルクリニック,浅沼社会保険労務士事務所,彩の国を描く会
<法人内部>
やどかりの里,やどかり出版,やどかり研究所,大宮区障害者生活支援センター,浦和区障害者生活支援センター,大宮中部活動支援センター,浦和活動支援センター,労働支援プロジェクト
・名刺【デザイン・印刷】
総 計 450点
・はがき【デザイン・印刷】
年賀はがき 68点(7,100枚)
喪中はがき 4点( 420枚)
その他 10点(1,540枚)
・Webデザイン
社団法人やどかりの里,やどかり出版,第11回日本健康福祉政策学会学術大会
・その他【デザイン・印刷・情報処理】
伝票,領収書,カルテ,面接記録紙,リーフレット,レイアウト用紙,ルーズリーフ,スタンプカード,メモ帳,サービスカード,電話メモ,診察券,FAX送付票,オイル交換券,はし包,地図,払込取扱票,プログラム,コンサートチケット,席次表,年間予定表,グラフ,写真,ホームページ更新作業,等
(宗野 政美)
3)やどかり研究所
障害のある人,研究者,実践者が協力して研究所の運営を検討する運営委員会を中心に事業を進めた.社会情勢の変化も大きく,運営委員会で情勢についての共有を意識的に進めてきた.
今年度の活動は「障害のある人の権利に関する条約」(以下権利条約)についての学習を中心に据えることを運営委員会で確認した.その際に権利条約を自分たちの問題として考えることを大切にしていくこととした.
やどかり研究所サロンで2回にわたり権利条約をテーマに企画した.6月30日は拡大サロンとして,埼玉県障害者交流センターを会場に市内・県内の関係者が多数参加した.プログラム前半には市内の障害や難病のある人4人にそれぞれの人生の中で差別を実感したことなどの体験を語っていただき,後半にはアドホック委員会(国連で権利条約について検討する特別委員会)にも関わってきた東俊裕先生を講師に権利条約のポイントをお話しいただいた.
11月17日は,「私が人生の主人公になった」というテーマで,やどかりの里の4人のメンバーの人生を語っていただいた.
自らの人生の主人公となっていくことを阻害していたのは何だったのか,そしてそれをどう切り拓いてきたのか,を考える機会となった.
また,家族の状態調査を受け,家族支援をテーマにした研究班が活動を始めた.今年度はイギリスにおける家族支援の考え方や仕組みをやどかり研究所サロンで伊勢田堯先生にお話しいただくなど学習を進めた.同時に家族への聞き取り調査を行い,精神障害のある人を抱える家族の実態やその思い等を聞かせていただいた.その中から必要とされる支援内容を検討した.
(増田 一世)
(1)研究班
① 活動の基盤を見つめ現状を捉える力をつける学習会(温故知新学習班)
活動の基盤を見つめ現状を捉える力をつける学習会(通称:温故知新学習班)では,今年度8回の学習会を開いた.参加者は,やどかりの里に入職して1~6年目の職員が中心であった.日々の活動を通した学習を積み重ねることで,目に見えない大切な価値を確認する場としても活用された.今年度は,状態調査のまとめ,精神医療と地域作業所ルポーズの歴史,3障害の各法律の成り立ちなどを素材に学習を行い,やどかりの里で大切にしている価値を自分たちの活動に照らし合わせ,自分たちの活動基盤を見つめ直してきた.
来年度も5つの課題を意識した学習を行っていく予定である.参加者1人1人が,主体的に活動に取り組む力としていきたい.
(玉手 佳苗)
② 家族支援を考える研究班
2006年に実施したやどかりの里家族状態調査では,やどかりの里として家族支援への取り組みの重要性を再確認すると共に,より具体的に家族への支援態勢を構築する必要性を実感した調査となった.
今年度,伊勢田堯先生(東京都多摩精神保健福祉センター所長)を始め,家族支援に関心を持つ医師,保健師等とやどかりの里の職員で家族支援を考える研究班を立ち上げた.
今年度の取り組みとしては,必要とされる家族支援のあり方についての検討を進めるため,やどかりの里や市内家族会に所属するご家族からの聴き取りを行った.また,研究所サロンにて伊勢田先生からイギリスにおける家族支援の実際について学ぶ機会を持った.今後は,聴き取りの内容を更に深めると共に,研究助成を申請し,イギリスの現場を視察することも視野にいれ,研究をすすめる予定である.
(渡邉 奏子)
(2)やどかりサロン
今年度は,2006年12月国連総会において「障害のある人の権利に関する条約」が採択され,障害のある人の人権を改めて意識し,確認する機会を設け,学習していこうという目的を持って,サロンを中心に取り組んだ.
また今年度「家族の支援を考える研究班」を立上げ,今後取り組みを強化していくが,まずは長年精神障害者の生活臨床に取り組んできた,研究班の一員でもある伊勢田堯先生にサロンにお越しいただいた.
① 6月30日(土) 東俊裕氏「障害のある人の権利条約
② 9月1日(土) 伊勢田堯氏「今,改めて精神障害のある人の家族支援を考える」
③ 11月17日(土) 須藤守夫氏,星野文男氏,堀澄清氏,辰村泰治氏 「私が私の人生の主人公になった」
(3)やどかり研究所報告・交流集会
2008年2月16日(土)~17日(日)の2日間,やどかり情報館において,第6回やどかり研究所報告・交流集会が開かれた.
1年に1回会員の研究・実践報告,そして交流を目的とした報告・交流集会も今年で6回目を迎え,81名の参加者が集まった.1日目は2007年度事業報告,研究班活動報告,会員による研究・実践報告,自由討論,全体討論を行い,計8つの報告があった.2日目は特別報告として埼玉大学准教授の宗澤忠雄先生から,「障害のある人の暮らしの中の人権を考えると題して障害のある人への虐待または不適切な行為に関する実態・意識調査について」の報告をいただいた.
2日間を通して,当事者が自分らしく生きるために医療,看護,保健,福祉,教育という分野を超え,当事者,家族,専門職が立場性を越えてつながることの大切さを改めて実感した報告・交流集会であった.
(渡邉 昌浩)
(4)学会発表
日本精神障害者リハビリテーション学会
11月21日~22日,日本精神障害者リハビリテーション学会が開催され,ワークショップにおいて,さいたま市における退院支援事業の取り組みを発表した.発表内容に関しては,さいたま市保健所,市内医療機関と一緒にまとめ,行政機関としての役割と取り組み,医療機関における取り組みと課題,自立支援員の意義と地域のネットワークづくりの取り組みについて,3報で発表した.
会場との意見交換では,当事者の自立支援員の役割の重要性を受け止めつつ,より多くの退院支援が可能となるような仕組みづくりを求める意見が出された. (三石麻友美)
(5)研究協力
今年度は下記3件の研究に対して,やどかり研究所運営委員会で報告を受けての検討や意見交換,やどかりの里メンバーへのインタビュー調査,聞き取り調査のコーディネイトなどを中心に協力した.
① フィリプモリスジャパン 市民活動~住民活動助成「さいたま市における障害者ハウジングサポート事業」
② 埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科・関根正さん,小林悟子さん「精神障害者の社会参加過程に関する研究」
③ 埼玉大学・福祉カウンセリングコース宗澤ゼミの3年西原さん「障害者自立支援法の影響」(仮)
(工藤 菜乃)
4)協働ネットワーク推進プロジェクト
今年度より福祉工場内に「障害のある人の仕事おこしと地域の中の協同労働」をテーマに,協働ネットワーク推進プロジェクトを立ち上げた.
福祉工場の新規事業種目の開拓と地域ネットワークづくりを目的にしたものである.
パイロット事業として,市営霊園の「植裁管理業務」と「物販飲食事業」が開始されている.
<植裁管理業務>
「思い出の里市営霊園」の一部(24,621.54平方メートル,7,461坪=1辺が157mの正方形の面積とほぼ同じ)を近隣の3施設(ななくさ大谷作業所,鴻沼福祉会あざみ共同作業所(以上知的障害者通所授産施設),そめや共同作業所(身体障害者通所授産施設)とともにさいたま市から委託を受け,5月より清掃業務を開始した.
障害当事者52名(知的障害者44名,身体障害者2名,精神障害者6名)と施設職員12名が,4施設で立ち上げた共同体「協働ネットさいたま」に登録.1日2時間,年間200日の除草・清掃作業に取り組んだ.
情報館からは,6名のメンバーが登録,週3日,9時30分から11時30分までを,1日2名のローテーションで作業をこなした.
「作業の中で,自分と立場の違う人たちと出会い,ふれあいを通して共に生きる良さについて考えを深める機会となった」
「屋外に出ることや,体を動かすことが頭と気持ちをリフレッシュさせる」など,働くメンバーの評価は,総じて高い.
今年度は低廉な委託費での実施であり,大きな利益を上げられることはできなかったが,さいたま市より実績が認められ,来年度は約3倍の委託費が見込まれている.
<物販飲食事業>
3月より,食事サービスセンター「まごころ」が「協働ネットさいたま」に参画.まごころが中心となって,市営霊園内で,障害のある人が関わる物品販売と飲食事業が提案できないか検討を始めている.
今年度はパイロット的に,春のお彼岸の時期,饅頭を試作し販売をした.
物販飲食事業は,まだコンセプトづくりが始まったばかりであり,試行錯誤しながら成果を積み上げていく段階である.
今後は,各事業を通して,「障害のある人の仕事おこしと協同労働」をテーマに,福祉関係者の連帯をいっそう強めていければと思う.
(宗野 政美)
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