やどかりの里援護寮


<平成19年(2007年)度事業計画>

 従来行ってきた以下の機能を果たしていく.・ 体験宿泊,・ 1人暮らしへの移行のための利用,・ 休息利用,・ 緊急対応,である.特に,昨年度から始まったさいたま市の退院支援事業で援護寮を足がかりに退院する人が多く,援護寮に求められる役割は大きい.今年度も引き続き,事業を活用して援護寮を利用する人の受け入れを行っていき,退院支援事業の一環として行われる退院支援連絡会議やケア会議などにも積極的に参加する.
  援護寮利用者の中には,多様な健康課題を抱えた人たちも増えてきており,それぞれの健康課題に応じた対応が求められるようになってきた.また,援護寮から地域生活に移行していくための支援として,市内の関係機関との連携を強めていくことも課題である.


<平成18年(2006年)度事業報告>

1)生活の場の提供

(1)地域生活への移行に向けて
  昨年に引き続き,・ 体験宿泊,・ 1人暮らしへの移行のための利用,・ 休息利用,・ 緊急利用,・ ショートステイ,の5つの機能の充実を図ってきた.利用者1人1人のニーズに合わせた支援を提供するため,関係機関と連携し,24時間の見守り態勢の中で,利用者1人1人の特徴を知り,地域生活を送る上での必要な支援態勢を整え,地域生活への移行を進めてきた.今年度の新規利用者は6名.入院の長期化により生活体験が少なかったり,病状の不安定さを抱えていたりする人たちが,今後の生活を組み立てるために利用を開始した.一方で,援護寮を退所した方は5名.それぞれ,地域生活へ移行し,自分なりの生活を送っている.また,体験宿泊については,退院後の生活について考えるための機会として受け入れてきた.関係機関と連携し,検討しながら進めてきた.

(2)多様な健康課題を抱える人たちへの支援
  今年度の特徴としては,休息や緊急に利用する人たちの中で,転倒による外傷や内科的な疾患による一時的な見守りの支援が必要となる人たちが多くなったことである.また,援護寮に入所したものの,内科的疾患の治療のために退所後の自分の生活を考える余裕をもてない人もいる.地域生活への移行を進めるだけでなく,1人1人の健康課題を明らかにしたうえで,医療機関との調整,支援環境の検討,本人の生活面での直接的なサポート等の具体的な支援を行ってきた.これらの具体的な支援から,その人らしい生き方や住まいのあり方について考え,地域生活を支える態勢をどのように作っていくのかが大切だと感じた.

(3)さいたま市退院支援事業との連携
  今年度より,さいたま市退院支援事業が開始した.市内に1か所の入所施設として,退院支援連絡会議や個別支援計画に基づくケア会議への参加,援護寮の体験宿泊や外出先としての場所の提供などを行ってきた.今年度は,事業を通して,2名が援護寮に退院している.(玉手 佳苗)

2)日中活動

(1)グループ活動
  昨年度に引き続き,1人暮らしの不安や心配を共有し,それぞれの人たちが自分のペースで暮らしを考える機会となることを目的に,グループ活動として「話し合い」を毎週水曜日に行ってきた.今年度は,新たな利用者を迎え,話し合いの内容も参加者のニーズに合わせて変化してきている.具体的には,1人暮らしの不安を話すだけでなく,病気を持つ仲間との関わり方を知りたい,福祉サービスの利用が初めての人も増えているため支援やサービスの情報を知りたい,といったニーズも見えてきた.そこで,まずは,やどかりの里のさまざまな資源やサービス,先輩メンバーの家を訪問する等の具体的な体験や見学を通して,1人1人が自分の暮らしや病気との付き合い方について考え,それを仲間と共有する過程を大事にしながらグループ活動を行ってきた.参加しているメンバーからは,「話しやすい場だと思う.同じ仲間と思えていい」「日中1人でいるよりも皆で話せるといい」「一緒に見学なんか出来て,いろいろ知れるのはいい」などの感想が出ている.
  また,援護寮の使い方や情報共有の場として2週に1回のペースで「語り合い」を行ってきた.メンバーが自分の近況等を話すことで,お互いの生活状況について知る機会となっている.
  今後もメンバー同士のつながりを感じ,1人1人が自分の暮らしを考えられる機会として,グループ活動を行っていく.
(玉手 佳苗)

(2)サークル
  今年度のサークル活動は,昨年度に引き続きコーラス,料理教室,ヨガ,畑そだて隊の4つの活動を行った.
・コーラス 第1,3,5木曜日開催
講師:関根薫 関根則子
参加者の要望に応え幅広い歌を取り入れた.里祭にて1年ぶりに発表を行った.
・料理教室 第2水曜日開催
講師:中田節子
旬の食材を使った料理を参加者で協力して作り,個々のレパートリーを増やした.
・ヨガ 第2,4木曜日開催
講師:工藤紘子
型にはまらず,ゆったりと自由に身体を動かすリラクゼーション運動を行った.
・畑そだて隊 概ね土曜日開催
担当:白石 直己
見沼ファーム21と協力し,農作業を通じて交流を図り,収穫物は各部署で頂いた.
(黒坂 牧子)

3)ショートステイ

 ショートステイは,今年度法による新事業に4月,10月と段階的に移行した.援護寮がさいたま市からショートステイの事業者指定を受け運営を行っている.
  新事業では,これまでの家族の事情による利用のほか本人の事情で利用することも可能となった.また,利用期間も原則7日間以内という限定は無くなり,障害程度区分や本人の生活状況を考慮して個別に利用期間が決められることとなった.利用料に関しては,新しい料金体系に変更はあったが,自己負担の大幅な増減はなかった.いずれにおいても利用者にとっては使い易くなったため,利用相談や見学,体験利用などは昨年度に比べ増えており,今年度は5名の方が数回の利用を行った.市内に限らず市外からの利用相談も受けてきた.
  利用する理由は個人によってさまざまであるが,在宅における生活が一時的に困難な状況にあるということは共通している.ショートステイ利用だけでは問題の根本的な解決はできない場合も多く,地域での継続的な支援の必要性を感じることもあった.ショートステイは精神障害をもった人たちの地域生活の安定のために利用するだけでなく,地域の潜在的なニーズを掘り起こす機会にもなることがわかった.今後,援護寮として対応を検討していきたい.(黒坂 牧子)